スーパーの水産部門の仕事とは?仕事内容や将来性を解説

スーパーの水産部門の仕事
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監修者のアバター       葛川英雄      

水産市場の競り人、生鮮食品業界、人材業界で培った豊富な経験を持つ食のプロフェッショナル。現在は株式会社オイシルの代表取締役として、10年以上の業界経験を活かし、生鮮業界やスーパーマーケット業界の発展に貢献しています。

水産部門は、魚介類の鮮度管理から加工、販売までを担当するスーパーマーケットや専門店の重要な部門です。

早朝からの作業や冷たい環境での仕事が特徴ですが、専門的な知識と技術を身につけられる魅力的な職種です。健康志向の高まりや和食の人気により注目度も上昇しており、キャリアの可能性も広がっています。

この記事では水産部門の基本的な仕事内容から1日の流れ、将来性まで詳しく解説します。

目次

水産部門とは?主な仕事内容と環境

水産部門の主な仕事内容と環境

水産部門は、魚介類の仕入れから販売までを一貫して管理する部署で、食の安全と鮮度維持に責任を持ちます。冷たい作業環境や早朝業務が多い特徴がありますが、専門性の高い技術が身につく職場です。

水産部門の役割

水産部門は単に魚を売るだけでなく、食文化の継承や地域経済にも貢献しています。

鮮度の高い魚介類の安定供給では、市場や漁港から仕入れた魚介類を最適な状態で消費者に届ける役割を担当します。食文化と地域経済の橋渡しとして、地元の漁業関係者と連携し、海の食文化を支える重要なポジションを担っています。

消費者の健康と安全を守る存在として、取り扱う商品に対して高い責任感が求められます。流通の各段階で温度や衛生状態を厳密に管理することで、品質の維持に努めています。

主な仕事内容

水産部門では魚介類に関する専門知識と技術を活かした多様な業務を行います。

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業務分野主な作業内容
仕入れ・買い付け市場や漁港での目利きによる商品確保、適切な価格と数量の交渉と決定
加工・調理三枚おろしや切り身など基本的な下処理技術、刺身や調理済み商品の製造
販売・接客鮮度を引き立てる陳列とPOP作成、調理法や保存方法の提案

魚の種類によって捌き方が異なるため、日々新たな技術習得の機会があります。お客様に喜んでもらえる商品提供ができると大きな達成感を得られる仕事です。

労働環境の特徴

水産部門の労働環境は特有といわれており、心構えが必要です。

低温環境での作業が基本となり、魚の鮮度維持のため常に冷たい場所での作業が中心となります。早朝からのスケジュールでは、市場の開始時間に合わせて早朝から業務開始する場合が多く、生活リズムの調整が求められます。

衛生管理の徹底については、食品を扱うため清掃や消毒など衛生面への配慮が不可欠です。

氷や冷水を多用するため体が冷えやすく、床が濡れることで滑りやすい環境でもあります。防水エプロンや手袋を活用し、清潔な環境を保つ工夫が日常的に行われています。

水産部門の1日の流れ

水産部門の1日の流れ

水産部門の1日は早朝からスタートし、鮮度管理と顧客対応を軸に進行します。時間帯によって業務内容が変化し、常に鮮度と品質を優先した行動が求められます。企業により異なりますが、代表的な例をご紹介します。

早朝~午前中

朝は仕入れと加工作業から始まり、開店準備へと進みます。

出勤・準備作業
作業場の清掃と消毒を行い、温度確認と当日の計画確認を実施します。衛生的な作業環境を整えることで安全な商品の提供につながります。

魚介類の受け取り・検品
仕入れ品の鮮度と数量チェックを行い、必要に応じた返品や交換対応を実施します。新鮮な商品を確保するための重要な工程です。

下処理・加工開始
三枚おろしや切り身作業を進め、パック詰めと値札貼りを行います。商品の魅力を最大限に引き出すための技術が求められる作業です。

開店前までに商品をパック詰めし、見栄え良く売り場に陳列することで、新鮮な商品を提供します。効率的な準備が顧客満足度を高めるポイントとなります。

昼~午後

昼間は接客と商品管理が中心となり、売れ行きに応じた対応を行います。

売場・接客対応
お客様への料理提案や商品説明を行い、売場の補充と整理を実施します。お客様のニーズに応えることで信頼関係を築いていきます。

品質管理とロス対策
鮮度低下商品の値引き対応を行い、売れ筋確認と追加加工を実施します。品質維持と経営効率の両立が求められる業務です。

売り場の状況を見ながら追加の品出しや陳列の手直しを実施し、欠品を防ぎます。同時に翌日の見通しを立てながら発注作業も進めるため、多くの判断が求められる時間帯です。

夕方~閉店

終業時間が近づくと、翌日の準備と片付けが主な業務になります。

帰宅ラッシュ対応
夕食用商品の最終陳列調整を行い、タイムセールなどの企画実施を進めます。一日の売上を最大化するための最後の努力が求められます。

在庫整理・翌日準備
売れ残り商品の確認と分類を行い、翌日の仕入れ計画最終決定を実施します。効率的な在庫管理により廃棄ロスを最小限に抑えます。

清掃・終了作業
器具や作業場の洗浄・消毒を行い、最終チェックと発注確定を実施します。翌日の作業に支障がないよう徹底的な清掃が必要です。

売り場の片付けや値下げ対応を行いながら、余った商品の処理や翌日の準備を整えます。作業場を隅々まで清掃し、次の日に備えることで1日の業務が完了となります。

水産部門の注意点とやりがい

水産部門の注意点とやりがい

水産部門は体力的な負担や早朝勤務など大変な面がある一方で、専門技術の習得やお客さまとのつながりなど多くのやりがいも存在します。両面を理解することで長く活躍できる可能性が広がります。

きついと言われる理由

水産部門が「きつい」と言われる特有の理由について理解しておくことが大切です。

冷たい水や重い魚のケースを扱うため体力的な負担も大きく、早朝からの作業で生活リズムの調整が難しい面もありますが、適切に対応することで、水産部門の仕事を長く続けることができます。

早朝からの長時間労働

市場時間に合わせた早起き勤務や開店前の大量下処理をこなす必要性があります。通常の小売業よりも2〜3時間早い勤務開始となるため、体力的な負担は決して軽くありません。

対策として、早寝早起きの生活リズムを整え、前日の準備を徹底することで朝の負担を軽減できます。

低温による体への負担

冷蔵設備や氷による身体の冷えや温度差による体調管理の難しさがあります。長時間の冷たい環境での作業により、関節や筋肉への影響も懸念されます。

対策として、防寒インナーの着用や温かい飲み物の摂取、こまめな休憩で体温を維持する工夫が効果的です。

衛生面への配慮

魚特有の匂いへの対応や清掃や消毒の徹底が求められます。手指の消毒や包丁の使い分けなど、常に清潔な環境を維持する必要があります。

対策として、専用の作業着と靴の使用、レモンや重曹を利用した消臭方法、保湿クリームによる手荒れ防止が役立ちます。

水産部門のやりがい

苦労する分だけ、水産部門ならではの喜びも大きい職場です。早朝勤務や低温環境といった厳しい条件がある一方で、専門技術の習得や顧客との直接的なつながりを通じて、他の部門では得られない充実感を味わうことができます。

専門技術の習得

包丁技術や魚の目利き能力、一生使える食の専門知識を身につけられます。経験を積むほど技術が向上し、専門職としての価値が高まります。

魚を捌く技術や相場情報などの専門知識が身につく喜びは大きく、旬の魚を提供する達成感も得られる仕事です。

食を通じた社会貢献

栄養価の高い魚介類の提供や食文化の継承と発展に携わることができます。魚の持つ豊富な栄養素を消費者に届けることで健康促進に貢献し、日本の伝統的な食文化を次世代に伝える役割も担います。

健康に良い食材を通じて地域社会に貢献できることは、大きなやりがいの一つです。

顧客からの直接評価

レシピ提案への感謝の声やリピーターとの信頼関係構築を実感できます。調理方法のアドバイスや季節に合った魚の提案により、お客様の食生活を豊かにすることができます。

お客様から直接「美味しかった」という言葉をもらえることが大きなモチベーションとなり、自分の成長を実感できる職場環境です。

水産部門への就職・転職のポイント

水産部門への就職・転職のポイント

水産部門への就職や転職を考える際は、適性や必要なスキル、キャリアパスを事前に把握しておくことが大切です。未経験からでも学べる環境が多いですが、体力面や衛生意識など基本的な姿勢が求められます。

向いている人の特徴

水産部門で活躍しやすい人には共通の特徴があります。

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特徴理由・詳細
体力があり朝型の生活が得意早朝勤務や立ち仕事が多いため体力と生活リズムの適応力が必要
几帳面で衛生管理に敏感細かな衛生管理や正確な作業が求められるため、丁寧さが重要
魚や料理に関心がある食材への興味と知識があると習得が早く、顧客への提案も充実
チームワークを大切にできる部門内の連携が必須で、協力して作業を進める姿勢が求められる

コツコツと手を動かす作業を続けながらも、売り場を魅力的にする工夫ができる人が水産部門では特に活躍しやすいでしょう。対人コミュニケーションも重要なスキルです。

必要なスキルと資格

水産部門で必要とされる基本スキルと役立つ資格について理解しておきましょう。

魚の基礎知識と包丁技術では、魚種の特徴や旬の理解、基本的な三枚おろしや切り身技術が求められます。衛生管理の知識として、食品衛生責任者の資格やHACCP関連の基礎知識が役立ちます。コミュニケーションスキルでは、顧客ニーズの把握と提案力、チーム内での連携と情報共有が必要です。

包丁の扱い方や衛生管理の基本は就業後に学べる場合が多く、未経験でも挑戦できます。資格があれば業務の幅が広がり、キャリアアップにも有利になります。

*HACCP
食品の安全を確保するための衛生管理手法で、製造工程の各段階において発生しうる危害要因(微生物汚染、異物混入、化学物質の影響など)を特定し、重点的に管理するシステムです。各工程で適切な予防措置を講じることで、食品の安全性を高めます。

参考:厚生労働省 HACCP入門のための手引書

目指せるキャリア

水産部門からは多様なキャリアパスが広がっています。

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キャリア段階職種業務内容必要スキル
初級~中級部門チーフ・マネージャー部門の売上管理や人員配置、スタッフ育成と業務改善リーダーシップ、数値管理能力
中級~上級バイヤー・スーパーバイザー店舗を超えた仕入れ戦略立案、複数店舗の管理と指導市場分析力、経営視点
独立志向独立開業・専門店経営魚屋や海鮮料理店の開業、自分のこだわりを活かした事業展開経営ノウハウ、顧客開拓力

店舗内でのチーフから管理職、バイヤーなど仕入れを任される立場へとキャリアアップが可能です。

食品加工のノウハウを活かして企画部門への異動や、独立して専門店を開業するケースもあり、長期的な視点でキャリア形成ができます。

よくある質問

水産部門への就職・転職で多く寄せられる疑問について解説します。

未経験でも採用されますか?

多くの企業では未経験者向けの研修制度を設けており、基本から学べる環境があります。

女性でも働きやすい環境ですか?

機械化や設備改善により女性スタッフも増加しており、細かな作業や接客面で高い評価を得ています。

勤務時間や休日はどうなっていますか?

シフト制が一般的で、週休2日や固定休の設定がある企業も増えています。勤務先により条件が異なるため確認が必要です。

水産部門との将来性

水産部門との将来性

水産業界は国内外の環境変化や技術革新、消費者ニーズの多様化により大きく変わりつつあります。これらの動向を理解することで、長期的なキャリア形成に役立てることができます。

日本の水産事情とグローバル展開

国内外の水産業界は大きく変化しており、新たな可能性が広がっています。

和食ブームと輸出拡大では、海外での日本食人気により、水産品の輸出需要が増加傾向にあります。輸入魚介類の多様化として、国内漁獲量の減少を補う形で、海外からの多彩な魚種が流通しています。

国内漁獲量は減少していますが、輸入品の活用や新たな漁法の発達により品揃えは多様化しています。グローバルな視点を持つことで、より幅広い知識と経験を積むことができるでしょう。

参考サイト:NHKニュース 農林水産物と食品の輸出額が初の1兆5000億円超 日本食の人気で

技術革新とSDGsへの対応

持続可能な水産業への取り組みが進み、新たな技術も導入されています。

養殖技術の発展では、乱獲を防ぎながら安定供給を実現する養殖方法の改良が進んでいます。トレーサビリティの強化として、IoTやブロックチェーン技術による魚の産地や流通経路の可視化が進展しています。

食品廃棄削減や持続可能な資源管理への意識が高まり、水産部門でも効率的な在庫管理や廃棄ロスの低減が求められています。こうした社会的課題に対応できる人材の需要は今後も増加するでしょう。

参考サイト:産経新聞 スマート水産業で「取りすぎない」漁業に 水産資源 情報通信技術で守る

消費者ニーズの変化

消費者の志向変化に伴い、水産部門に求められる商品やサービスも変わってきています。

養殖技術の発展では、乱獲を防ぎながら安定供給を実現する養殖方法の改良が進んでいます。トレーサビリティの強化として、IoTやブロックチェーン技術による魚の産地や流通経路の可視化が進展しています。

魚の栄養価が見直される一方で、調理の手間を省いた商品への需要も高まっています。

骨抜きや一口サイズの切り身、漬けや干物などの簡単調理商品が特に人気です。こうした多様なニーズに応える商品開発力が求められています。

参考サイト:日経クロストレンド 「超速輸送魚」「超速冷凍魚」 魚離れを死語にする新消費トレンド

水産部門で長く活躍するためのポイント

水産部門で長く活躍するためのポイント

水産部門で長期的に活躍するためには、専門性の向上だけでなく健康管理や環境適応能力も重要です。継続的な成長を目指すための具体的な取り組みについて解説します。

継続的な学習姿勢

新しい魚種や調理法への関心維持、社内研修や専門書からの知識吸収が重要です。

水産業界は季節や流行により扱う商品が変化するため、常に新しい情報をキャッチアップする意識が求められます。技術の向上と知識の更新により、専門性を高められます。

体調管理の徹底

冷たい環境に対応する防寒対策、手荒れ予防や睡眠・食事の規則化を心がけます。早朝勤務と低温環境という特殊な労働条件に対応するため、日常的な健康管理が長く働き続けるための基盤となります。

体を温める工夫や手荒れ対策を日常的に行うことが特に重要です。

コミュニケーション強化

チーム内の情報共有と連携、顧客ニーズの把握と対応力向上を図ります。部門内での効率的な作業進行と、お客様への的確な提案により、職場での信頼関係と顧客満足度の両方を高めることができます。

職場の仲間と情報共有しながら改善点を探り、一つひとつ解決していく姿勢が長期的なキャリア形成に役立ちます。

衛生管理の習慣化

清潔な作業環境の維持、食品安全の最新知識更新を継続します。

食品を扱う職場として最も基本的でありながら最も重要な要素であり、日々の習慣として定着させることが不可欠です。適切な衛生管理により信頼性の高い商品提供が実現できます。

まとめ

水産部門は早朝勤務や低温環境という特有の条件がありますが、専門性の高い技術習得と食を通じた社会貢献ができる魅力的な職種です。

健康志向の高まりや和食人気を背景に安定した需要が見込まれ、部門チーフやバイヤー、独立開業までキャリアの選択肢も広がっています。

体力と早起きに自信があり、魚や料理に興味を持つ方にとって、長期的に成長できる仕事と言えるでしょう。

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