埼北水産株式会社
所在地:〒360-0023 埼玉県熊谷市佐谷田1,485番地
事業内容:卸売事業、輸入事業、輸出事業、外食事業、生鮮加工事業
埼玉県熊谷市にある埼北水産株式会社は、1945年の創業から魚屋の卸として事業をスタートし、現在では卸売・輸入・輸出・外食・生鮮加工の5つの事業部を展開する専門商社から複合水産会社へと発展を遂げました。
特に注目すべきは、2024年6月から本格稼働を開始したサーモン専用の加工場『フレッシュ加工センター』。最新の機械化と徹底した品質管理により「お客様に選ばれるサーモン加工場」を目指す同社の取り組みと、そこで働く魅力について、取締役で輸入事業部長・生鮮加工事業部長を務める高谷圭輔さんにお話を伺いました。
埼北水産の事業概要

——まず、埼北水産の事業概要について教えてください。
高谷:1945年に埼玉県熊谷市で町の魚屋から屋号を変え水産卸売会社に事業展開し創業しました。約27年前に東京に海外事業部を作り、輸出・輸入業務を始めました。卸売商社と貿易商社の2つの柱が出来上がり、それぞれが独立した事業展開を進めてきました。
外食産業に進出した理由は、当社卸売場にはいつも新鮮な水産魚介類があるのだから、熊谷の方々に築地にわざわざ行かなくてもおいしい海鮮料理が手軽に食べられるようにしよう!と約15年前に事業展開をしました。1つ目の柱の派生事業になります。
そして、2024年から開始した加工事業部は、輸入サーモンの付加価値加工のニーズが近年増え続けていること、国産サーモンの養殖が今後増えていて国内の加工場が不足することを考慮し、自社加工に進出することを決めました。2つ目の柱の派生事業になります。2つのしっかりした柱が立っていたので、派生事業を展開することができたと思っています。
現在は卸売事業部、輸入事業部、輸出事業部、外食事業部、生鮮加工事業部の5つの事業部で構成されています。 それぞれが独立した事業展開を行いながら、相乗効果も出始めています。
——輸入部と輸出部に関しては、特に扱っているものはありますか?
高谷:輸入部の主力商品は生鮮サーモン、輸出は国産ハマチがメインですね。
——今回の加工場はサーモンに特化していくのでしょうか?
高谷:この加工場は今はサーモン専用の加工場です。もしかしたら次の展開で違うものもあるかもしれませんが、今は生サーモン一本ですね。
なぜサーモン加工に注力するのか
——なぜサーモンの加工に注力されているのでしょうか?
高谷:理由は二つあります。一つは、お客様のニーズに応えたいということです。
輸入事業部が20年以上ノルウェー産サーモンの輸入を主軸として拡大してきたことがあり、サーモンの知識・取り扱いにかなり長けてる部分がありました。ただ、本当に商社として「原料を卸す」ということを続けてきました。その20年以上の経過とともに、小売・外食業の方から「鮮度も重視したい、でも手間も省きたいから加工してほしい」という風にトレンドもニーズも変わってきました。
——それは、高谷様自信が営業に出る中で実際にお聞きしたと言うことですか?
高谷:そうです。「フィレ(半身)で納品して欲しい」「柵で納品して欲しい」「切り身で納品して欲しい」「スライスで納品して欲しい」というような感じです。
その中で、「食の安全・安心」を考えたときに、自分たちで輸入したものを自分たちの工場で加工することにこだわりました。トレーサビリティが追いやすく、メーカーとして品質管理を担保しやすい部分があったためです。
特にうちは生サーモンの鮮度にかなりこだわっていたので、自社でやりきることで、こだわりの鮮度をより高い精度でお客様に届けることができると考えました。
——二つ目の理由は何でしょうか?
高谷:日本でサーモンの養殖事業が増えて来ていることです。海面養殖・陸上養殖どちらもどんどん増やそうという動きがあります。ただ、みんな消費地から遠く、作ることが主軸で、それをどう流通するかという部分がこれからなんです。
そこで加工のニーズももちろん増えるし、輸出のニーズも増える。うちには輸出事業部があって、生鮮のサーモンやハマチを世界中に販売している実績があるから、国産のサーモンを輸出する部分においてもいろいろ活かせる部分があると思います。
最新設備による圧倒的な効率

——他社の加工会社との違いや競争力の源泉はどこにあると思われますか?
高谷:まず機械化で人数を抑えられているということですね。「機械がやる」と、「人がやる」どちらでも結果は一緒なんですが、機械と人では、「ブレ」がなくなります。人はどうしても疲れるので、1時間あたりや1分当たりの作業量って、初めと終わりで違うことがあります。機械はずっと同じスピードで動き続ける。極力ラインを組むことによって、移動する手間も省ける。
ただ、人じゃないとダメな部分は必ずあるので、そこは人にやってもらってます。また、人が商品に極力触れないことで菌数が上がるリスクも減りますし、実際に菌数も抑えられています。
——品質の標準化ということですね。
高谷:そうです。あと圧倒的に生産効率が人でやるよりもいい。今20人弱で現場をやっているんですが、同じことを全部手作業でやろうと思ったら多分40〜50人必要なんです。そうなると、人を集めなきゃいけないし、教育も必要だし、品質のブレもあり、退職リスクもある。人がダメということではなく、「単調な作業」「単純だけど大変な作業」などは、できるだけ機械でやった方がいいと考えています。
——安全性の面ではどのような取り組みをされていますか?
高谷:FSSC22000という認証を取得しています。これはHACCPとISO22000を組み合わせて、それにさらに追加要求事項を載せた仕組みです。GFSIという世界基準の食品安全認証になります。
——トレーサビリティについてはいかがでしょうか?
高谷:QRコードで商品情報を管理しています。例えば注文の数量を入力すると、必要な枚数分のラベルが出てきます。それを外箱に貼って、注氷し出荷する。在庫データベースにもその日のロットが全部入るので、納品先のサーモンが1枚単位で「どこで、いつ水揚げされて、いつ当社に入荷して、いつ当社で加工して、いつ納品した」といったことが追いかけられます。これら一連の流れができているサーモン加工工場はなかなかないと思いますよ。
会社の規模と成長状況

——従業員数や売上規模について教えてください。
高谷:従業員数は全部で約50人です。売上規模は100億円を目指しています。
——コロナやウクライナ情勢の影響はありましたか?
高谷:ありましたね。一番ピークはコロナ前だったと思います。コロナになってから、円安や物流費高等、飛行機や船の減便の影響から輸入事業部の売上が少し下がりました。単純に仕入れ価格が前年の倍以上に跳ね上がりました。 ただ、当時より盛り返してきています。また、輸出事業部では円安がプラスに働いている部分もあります。こういった情勢の変化にも耐えられるように、生鮮加工事業部を作ったこともあります。
働く環境と企業文化

——経営理念の浸透について教えてください。
高谷:FSSC22000の認証を取る上で、社員への教育が必修事項になっています。工場のサニタリー入口にも貼ってありましたが、至るところに貼ってあります。本社でも輸入事業部でも輸出事業部でも、全部に貼ってあって周知するようにしています。
それをもとに全ての目標や年次計画を立て、各部署で年1回振り返りと次年度の計画を踏まえて話し合う機会を設けています。
——社員の皆さんはどんな雰囲気で働いていますか?
高谷:もくもく淡々と、自分のやるべきことをやるという感じですね。ワイワイでもないし、ヘラヘラでもないし、殺伐としているわけでもない。毎日朝礼をやって、今日はこれをやってねという指示を出しています。わからないことがあったら教えてくれます。
——工場の組織体制について教えてください。
高谷:今年からチームリーダー・セクションリーダーといった役職を作り始めています。工場はまだ1年経っていないので、去年はベース作りでした。今年やっと人も揃ってきて、やることがみんなわかってきたという段階になったので、役割を作って責任を持ってもらおうという感じにしています。
うちの工場で働いている人は、みんな未経験で入社しているんです。元々魚を扱っていたという人は1人しかいません。それは、機械化できているからこそという部分もあります。
人事制度と成長支援

——人事制度や評価制度で工夫されている点はありますか?
高谷:力量評価を全社員に対してやっています。各部署の上長が評価をして、それを経営陣に報告するというのをやっています。経営陣が現場のスタッフと話すことってあまりないので、そういう人たちの活動評価を共有するようにしています。
営業職、事務職、工場長、生産者、品質管理者など、自分の職種、役割、役職によって評価項目と求められている基準が全部違って、それに応じて評価をしています。
——面談制度もあるそうですね。
高谷:事業部長か担当役員のどちらかが、その部署の全員と年3回は面談しています。役職関係なく、下から上まで一対一で面談をしています。1人がかなりの人数を見ている場合、面談だけで2週間ほどかかってしまうケースもありますが、面談しないとこの人が何をどう考えているのかが出てこないので。
——部署間の移動もあるんですか?
高谷:5事業部を作ってからは結構あります。総務にいた人が加工事業部に入ったり、輸出の方にいた人が加工事業部に来たり、総務にいた人が東京に行ったり。その辺の移動は積極的にするようにしました。
社長の想いとして「やる気がある人のやる気を潰しちゃいけない」があります。やる気があるならチャンスをあげなさいと。それを体現している形です。
入社後の業務と働きがい

——入社直後に携わる業務内容について教えてください。
高谷:入社直後は、一通り簡単な食品安全に関する知識を覚えて、あとはOJTしながら作業に入ってもらう感じです。特別に難しい技術が必要な工程はあまりないので、基本的にどこでも入れます。
それをやりながらいろんなことを覚えてもらいます。極力機械化はしてますが、細かい仕事や重い荷物の上げ下げもあるので、力仕事も一部あります。
——社員の方が入社した理由や魅力をどのように捉えていますか?
高谷:本音で言うと、みんな家が近いからとかが多いですかね(笑)。今働いてくれてる人は、周辺に住んでいる方が多いです。「機械化が進んでいる」とはいっても、働き手にとっては、「まぁこんなもんか」という風に映るようで。魅力的よりは、「問題ない工場だ」くらいに思ってくれてるんじゃないかと思います。私としては、それで良いと思ってます。
——やりがいを感じる部分はどこでしょうか?
高谷:今いる人たちはみんなすごくやる気があります。それは明確なゴールがみんなあるからなんだと思います。加工場のスタッフには、大きな目標として「日本一のサーモン加工場にするぞ!」ということを最初からずっと言っています。
その日本一もいろいろあって、生産量なのか、売上なのか、品質なのか。いろいろあると思うんですが、最終的にはどれをとっても日本一にするぞと。
——逆に「厳しい」と感じる部分はありますか?
高谷:生鮮なので土日も稼働していることです。日曜は加工こそしてないのですが、出荷作業はあります。シフト制で勤務することに慣れてない方には、厳しいと感じる部分があるかもしれません。
また、平常時の残業はそこまで多くないですが、ひな祭り・お盆・年末年始といった繁忙期には残業が多くなってしまいます。ただ、魚屋さんで聞く「年末年始に近隣ホテルに泊まって、朝から晩まで仕込みしてる」みたいなことは、今のところは無いです。 今後はさらに生産量を上げていかないといけませんから、増産になってきたら体制が変わる可能性はあります。
求める人材像

——どのような人材を求めていますか?
高谷:素直な人ですね。
——スキルや経験よりも人柄を重視されるということでしょうか?
高谷:人柄ですね。工程の中で数少ない人が触るところでコミュニケーションも発生するので、そこで変な人だとうまくいかないですね。
また、機械ができないことを人にやってもらいたいので、機械のような人間だったらあまり意味がないです。機械でいいじゃんってなってしまう。
——未経験者でも活躍できる環境ということですね。
高谷:みんな未経験者で、未経験者でもちゃんとやってくれれば誰でも活躍できるようになっています。
今後の事業展開と将来性

——今後の事業展開について教えてください。
高谷:原料加工だけじゃなくて製品製造、冷凍製品も扱っていくことになる。生鮮だけじゃなく、冷凍と製品も。卸売商社から、メーカー機能を持った商社に。というイメージです。
——今後やってみたいことはありますか?
高谷:これをやってみたいというより、今もうやらなきゃいけないのがスライス加工です。それに早く落とし込んでいかないといけません。
——会社としての将来的なゴールはありますか?
高谷:売上200億位の規模にはならなきゃいけないと思います。ただ、それを無理やりやるんじゃなくて、200億に見合った会社になっていかないといけない。 まだまだやれることは多いです。
現状だと、できる数名にすごい責任が集中していて、その人たちがいなかったら会社が回らないような部分が残っています。うちの会社は50年以上やってきましたが、50年、100年、と永続的に残っていく会社を作っていかないといけないと強く思ってます。
応募を検討している方へのメッセージ

——最後に、応募を迷っている方へメッセージをお願いします。
高谷:「自分たちで工場を作っていくという気持ち」を持ってる人に来てもらいたいです。
皆さんがイメージする「普通の工場」では、そこの工場のルールが決まっていて、やり方も決まっていて、仕事内容も全部決まっていて、あとはそこに入ってやるだけ。すべて出来上がってる。
面談の時に必ず言うのは、うちはまだ出来上がってないこと。うちの工場はできたてで、これから成長していく工場です。ルールもどんどん変わっていくし、今はAだったことが、来年にはBになってる可能性もあります。
ルールが全て明記されているところまでは行っていない。だから「自分で考えて」と言われるようなことも多いかもしれません。
良くも悪くも、社内ベンチャーになるので、「自分で考えて、一緒に会社を作っていく」という気持ちがある方には、すごくやりがいがある環境だと思います。
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