食品業界において、「中食」と「惣菜」という言葉は頻繁に使われますが、その関係性を正確に理解している方は多くありません。中食にはさまざまな選択肢がありますが、その中でも惣菜は多くの人に選ばれている人気の選択肢です。
この記事では、中食と惣菜の関係性から、惣菜が選ばれる理由、販売チャネル別の特徴、主要メーカーまで解説します。食品業界で働く方や、この分野への転職を検討している方にとって、業界理解の参考となる内容です。
中食とは何か

食事形態の分類において「中食」という概念は、現代の食生活を理解する上で欠かせない要素となっています。ここでは中食の基本的な定義と特徴について解説します。
中食の定義
中食(なかしょく)とは、農林水産省の分類によると「家庭外で商業的に調理・加工された食品を購入し、家庭内で消費する食事形態」を指します。
中食には調理済みの食品を購入すること、家庭で食事を摂取すること、商業的に製造・販売された食品であることという3つの特徴があります。食品業界の統計や市場分析で使用される基本的な分類です。
外食・内食との違い
食事形態は一般的に「内食」「中食」「外食」の3つに分類されます。詳しくは別途「内食・中食・外食」に関する記事をご参照ください。
| 分類 | 調理場所 | 食事場所 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 内食 | 家庭 | 家庭 | 自宅での手作り料理 |
| 中食 | 家庭外(商業施設) | 家庭 | コンビニ弁当、デパ地下惣菜 |
| 外食 | 家庭外(商業施設) | 家庭外 | レストラン、ファストフード |
この分類により、食品業界では消費者の食事行動を分析し、商品開発や販売戦略を策定しています。特に中食は、調理の利便性と家庭での食事の快適性を両立する食事形態として注目されています。
中食の種類と惣菜の位置づけ
中食には多様な種類があります。弁当、おにぎり、サンドイッチ、丼もの、そして惣菜など、さまざまな商品が中食として提供されています。デリバリーサービスやテイクアウトなども中食の一形態として近年拡大しています。
その中でも惣菜は、単品で購入できる手軽さや、複数の品目を組み合わせて食卓を彩れる自由度の高さから、多くの消費者に支持されています。
和洋中を問わずさまざまな料理がそろっており、個々の好みに合わせて組み合わせやすいところが利点です。総務省の家計調査によると、惣菜への支出は年々増加傾向にあり、中食市場における主要な商品カテゴリーとなっています。
中食として惣菜が選ばれる理由

惣菜は中食の選択肢の中でも特に人気が高く、幅広い世代に利用されています。ここでは、なぜ惣菜が中食として多くの人に選ばれるのか、その理由を解説します。
惣菜の利便性と魅力
惣菜が中食として選ばれる最大の理由は、その利便性にあります。調理の手間がかからず、購入後すぐに食べられることで、忙しい現代人の時短ニーズに応えています。
また、惣菜には家庭では作りにくい揚げ物や、手間のかかる煮物なども豊富に揃っており、料理のレパートリーを手軽に広げられる魅力があります。プロの調理技術により作られた惣菜は、家庭料理に近い味わいと品質を提供し、食事の満足度を高めています。
さらに、惣菜は単品購入が可能なため、必要な分だけを購入でき、食品ロスの削減にもつながります。一人暮らしの方や少人数世帯にとって、この点は大きなメリットとなっています。
ライフスタイルに合わせた活用法
惣菜は多様なライフスタイルに対応できる柔軟性を持っています。共働き世帯では、仕事帰りに惣菜を購入することで夕食準備の時間を大幅に短縮できます。主菜だけを惣菜で済ませ、副菜やご飯は自宅で用意するという使い方も一般的です。
高齢者世帯では、調理の負担軽減だけでなく、少量から購入できる惣菜が重宝されています。栄養バランスの取れた惣菜を組み合わせることで、健康的な食事を手軽に実現できます。
単身世帯では、自炊では作りにくい品目を惣菜で補うことで、食事のバリエーションを増やすことができます。また、来客時や特別な日のために、デパ地下などで高品質な惣菜を購入するという活用法もあります。
惣菜を購入できる場所
惣菜は身近なさまざまな場所で購入できます。コンビニエンスストアでは、24時間いつでも個食サイズの惣菜を購入でき、忙しいビジネスパーソンや夜間の食事ニーズに対応しています。から揚げ、サラダ、煮物などの定番商品が揃っています。
スーパーマーケットでは、家族向けのボリュームある惣菜や量り売り惣菜が充実しており、価格も比較的リーズナブルです。店内で調理されるインストア惣菜は、作りたての鮮度が魅力となっています。
デパート地下や専門店では、高品質で付加価値の高い惣菜が提供されており、ギフトや特別な日の食卓を彩る選択肢として人気です。老舗店舗の惣菜や季節限定商品など、差別化された商品が揃っています。
惣菜の基本知識

惣菜を中食として活用する上で、惣菜の基本的な知識を理解しておくことは重要です。ここでは惣菜の定義や種類について解説します。
惣菜の定義と分類
惣菜とは、日本惣菜協会の定義において「調理済みまたは調理加工された食品で、そのまま食べられるもの、または簡単な調理で食べられるもの」とされています。
惣菜は調理の程度により分類され、そのまま食べられる状態の完全調理品、加熱等の簡単な調理が必要な半調理品、下処理済みの食材である素材加工品に区分されます。中食として利用される惣菜の多くは、完全調理品または半調理品に該当します。日本惣菜協会は、惣菜管理士などの資格制度を通じて、業界の品質向上や担い手の育成にも寄与しています。
参考:一般社団法人日本惣菜協会 https://www.nsouzai-kyoukai.or.jp/
惣菜の種類
惣菜は調理方法や保存方法により、さまざまな種類に分けられます。
調理方法別では、揚げ物惣菜(から揚げ、コロッケ、天ぷらなど)、煮物惣菜(肉じゃが、筑前煮など)、焼き物惣菜(焼き魚、グリル野菜など)、和え物・サラダ類(ポテトサラダ、白和えなど)に分類されます。それぞれ異なる調理技術が求められ、商品の特性も異なります。
保存方法別では、常温保存可能品、冷蔵保存品、冷凍保存品に分けられます。冷凍惣菜は長期保存が可能で、電子レンジで温めるだけで食べられる利便性から、近年市場が拡大しています。冷蔵惣菜は鮮度が重視され、購入後早めに消費する必要がありますが、作りたての美味しさを楽しめます。
販売チャネル別の惣菜の特徴

惣菜は販売されるチャネルによって、商品の特徴や戦略が大きく異なります。それぞれのチャネルの特徴を理解することで、自分のニーズに合った惣菜選びができます。
コンビニの惣菜
コンビニエンスストアの惣菜は、個食対応と利便性を重視した商品展開が特徴です。24時間営業により、いつでも購入できる点が大きな強みです。また、日持ちを重視した商品設計により、購入後の消費期限に余裕があります。
| 企業名 | 特徴・人気商品 | 公式サイト |
|---|---|---|
| セブンイレブン | カップデリ、セブンプレミアム惣菜 | https://www.sej.co.jp/ |
| ファミリーマート | ちょいデリ、ファミマルキッチン | https://www.family.co.jp/ |
| ローソン | 選べるデリ、ローソンプレミアム | https://www.lawson.co.jp/ |
| ミニストップ | 店内調理のホットスナック | https://www.ministop.co.jp/ |
| デイリーヤマザキ | 手作り感のある惣菜 | https://www.daily-yamazaki.jp/ |
各社は独自のPB商品を展開し、品質と価格のバランスを追求しています。
スーパーの惣菜
スーパーマーケットの惣菜は、家族向けのボリュームと価格競争力が特徴です。多くのスーパーでは店内調理(インストア製造)を行っており、作りたての鮮度が魅力となっています。夕方の時間帯には値引きが行われることも多く、コストパフォーマンスを重視する消費者に支持されています。
| 企業名 | 特徴・人気商品 | 公式サイト |
|---|---|---|
| イオン | トップバリュ惣菜、量り売り惣菜 | https://www.aeon.com/ |
| イトーヨーカドー | セブンプレミアム惣菜、店内調理惣菜 | https://www.itoyokado.co.jp/ |
| ライフ | 揚げ物に定評、から揚げ・コロッケ | https://www.lifecorp.jp/ |
| マルエツ | 地域密着型の店内調理惣菜 | https://www.maruetsu.co.jp/ |
| サミット | 手作り感のある店内調理惣菜 | https://www.summitstore.co.jp/ |
大手チェーンは、地域の食文化に合わせた商品開発を行っています。
デパ地下・専門店の惣菜
デパート地下や惣菜専門店の惣菜は、高品質と差別化が特徴です。老舗店舗や有名シェフが監修した惣菜、季節限定商品など、付加価値の高い商品が揃っています。
価格は高めですが、特別な日の食卓やギフト需要に対応しており、味や見た目の美しさにこだわった商品が提供されています。
| 企業名・ブランド名 | 特徴・人気商品 | 公式サイト |
|---|---|---|
| RF1(ロック・フィールド) | サラダ専門店、デリカ惣菜 | https://www.rockfield.co.jp/ |
| 柿安ダイニング | 老舗和惣菜、牛めしの素 | https://www.kakiyasuhonten.co.jp/ |
| まつおか | 伝統的な和惣菜、筑前煮 | https://www.souzai-matsuoka.com/ |
| 餃子専門の店 好餃子(ハオチャオズ) | 餃子専門店、焼き餃子 | https://haochaozu.co.jp/ |
| とんかつまい泉 | とんかつ専門店、ヒレかつサンド | https://www.maisen.co.jp/ |
専門店ブランドは、独自の調理技術や厳選した食材により、差別化された商品を展開しています。
惣菜業界について

中食として人気の惣菜を製造・販売する惣菜業界は、多様な企業が参入する成長市場です。ここでは業界の概要と主要企業について簡単に触れます。
惣菜業界の概要
惣菜業界は、大手食品メーカーの惣菜部門、惣菜専業メーカー、小売業の製造部門、地域密着型の惣菜事業者など、多様なプレイヤーが参入しています。それぞれが異なる強みを持ち、多層的な市場構造を形成しています。
業界全体として、食品衛生法や食品表示法などの法規制への対応が求められ、*HACCP(ハサップ)システムの導入など、高度な品質管理体制が必要とされています。また、社会構造の変化により、惣菜需要は今後も拡大が見込まれており、技術革新や商品開発が活発に行われています。
*HACCP(ハサップ)
食品の安全を確保するための衛生管理手法で、製造工程の各段階において発生しうる危害要因(微生物汚染、異物混入、化学物質の影響など)を特定し、重点的に管理するシステムです。各工程で適切な予防措置を講じることで、食品の安全性を高めます。
参考サイト:厚生労働省 HACCP入門のための手引書
主要な惣菜メーカー・ブランド
惣菜業界には、大手食品メーカーから専業メーカー、小売業の製造部門まで、多様な企業が参入しています。
| 企業名 | 分類 | 主な事業内容・強み | 公式サイト |
|---|---|---|---|
| ニチレイフーズ | 大手食品メーカー | 冷凍食品の技術力を活かした惣菜製品、業務用から家庭用まで幅広い商品ラインアップ | https://www.nichireifoods.co.jp/ |
| マルハニチロ | 大手食品メーカー | 水産加工の技術を活かした惣菜、魚介類を使った惣菜に強み | https://www.maruha-nichiro.co.jp/ |
| プリマハム | 食肉系企業 | 食肉加工のノウハウを活かした惣菜製品、原材料調達から製造までの一貫体制 | https://www.primaham.co.jp/ |
| エスフーズ | 食肉系企業 | 食肉加工技術を活かした惣菜事業、コスト競争力と品質管理の両立 | https://www.sfoods.co.jp/ |
| 神戸物産 | 惣菜専業メーカー | 業務スーパーを展開、自社製造の惣菜製品、特定商品分野への特化 | https://www.kobebussan.co.jp/ |
| サラダクラブ | 惣菜専業メーカー | サラダや野菜系惣菜に特化、健康志向の高い消費者層から支持 | https://www.saladclub.jp/ |
| セブン&アイ・フードシステムズ | 小売業製造部門 | セブンイレブン等グループ店舗向けに惣菜供給、販売データを活用した商品開発 | https://www.7andi.com/ |
| イオンデリカ | 小売業製造部門 | イオングループ店舗向けに惣菜製造、地域の食文化に合わせた商品展開 | https://www.aeondelica.co.jp/ |
これらの企業は、それぞれの強みを活かして中食市場における惣菜の供給を支えており、製造技術や品質管理、商品開発を通じて、消費者の多様なニーズに応える取り組みを続けています。
まとめ
中食における惣菜は、忙しい現代人の食生活を支える重要な選択肢となっています。調理の手間を省きながら、バラエティ豊かな食事を楽しめる惣菜は、コンビニ、スーパー、デパ地下など、さまざまな場所で購入できます。
中食は「食事形態」、惣菜は「商品カテゴリー」という異なる分類軸ですが、多くの惣菜が中食として消費されており、両者は密接に関連しています。自分のライフスタイルに合わせて惣菜を上手に活用することで、時間を有効に使え、健康的で満足度の高い食事を実現できるでしょう。
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