『株式会社旬』インタビュー|「すべてはお客様のために」 “商人” として魚のある日常を守る

株式会社 旬
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この記事の監修

監修者のアバター       葛川英雄      

水産市場の競り人、生鮮食品業界、人材業界で培った豊富な経験を持つ食のプロフェッショナル。現在は株式会社オイシルの代表取締役として、10年以上の業界経験を活かし、生鮮業界やスーパーマーケット業界の発展に貢献しています。

目次

企業プロフィール

株式会社旬
所在地:〒243-0212 神奈川県厚木市及川2-5-2
事業内容:鮮魚小売事業、寿司小売業、商品供給事業、飲食事業、自社工場 製造・販売事業
企業理念:「すべてはお客様のために」

神奈川県を中心に関東圏で鮮魚小売店「魚屋の旬」をはじめ、小売・卸・飲食など多角的に事業を展開しているのが、株式会社旬。

商品のクオリティと鮮度へのこだわり、そして「すべてはお客様のために」という理念のもと、日本一強い水産小売を目指している、現在勢いのある企業だ。

今回は、同社の高橋大輔氏に、会社の強みや働く魅力、求める人物像について詳しく話を伺った。

――はインタビュアーのものとして記載。

Q1. まずは株式会社旬について教えてください。どのような取り組みや魅力がある会社でしょうか?

髙橋氏: 株式会社旬は、神奈川県を中心に展開する鮮魚小売の専門企業です。

「魚屋の旬」「旬鮮寿し」などの業態で出店しており、地域密着型の店舗運営を行っています。もともとは小売からスタートしたのですが、現在では飲食や製造加工にも事業を広げています。

毎朝市場で自ら目利きした魚を仕入れ、その日のうちに売り切るという販売スタイルを徹底しているのも特徴のひとつではないでしょうか。

鮮度への強いこだわりが、店舗の活気やお客様の信頼につながっていると感じています。

―― そうなると毎日が勝負となりますが、大変そうですね。売場づくりにも細やかな工夫が求められそうです。

そうですね。生鮮を扱っている分、毎日が真剣勝負です。天候や仕入れ状況に応じてその日の最適な売場を考え、柔軟に対応しています。

あとは、やはり昔ながらの対面販売コーナーや、お刺身の量り売りなど、専門店としての魅力を活かした売り場づくりにも力を入れています。お寿司を全面に出す店舗もあります。

毎日の売場づくりを通じて、「お客様に安心して買っていただける店」であり続けることを大切にしています。

このように、株式会社旬では “その日の魚はその日のうちに売り切る” という鮮度へのこだわりを軸に、専門店ならではの売り場づくりを大切にしている。

日々変わる仕入れ状況やお客様の声に柔軟に対応しながら、「安心して買える店」を目指して現場での工夫が積み重ねられているのだ。

Q2. 出店を続ける理由について伺いたいです。どういった想いがあるのでしょうか?

髙橋氏: 現在、株式会社旬では関東エリアを中心に37店舗を展開しており、2025年時点で売上は80億円を突破しました。今後も複数の新規出店を予定しています。

ただ、出店の目的は単なる規模の拡大ではありません。私たちが何よりも大切にしているのは、「魚のある日常」を地域に届けることなんです。

魚離れが進んでいるとも言われるなか、地域に “魚を買える場所” を残すことは、魚を食べる文化を守ることにもつながると考えています。

―― 出店は、地域の暮らしを支える意味合いもあるのですね。たしかに、 “魚を買える場所を残す” という視点は、すごく地域想いに感じます。

はい。加えて、出店することによって、従業員の “働ける場所” も広がっていきます。採用と出店は常に連動していて、新しい仲間が活躍できる場所を増やすことも、大きな意義のひとつだと思っています。

その上で、株式会社旬では人材育成にも力を入れています。未経験の方でも安心して働けるよう、半年間のOJT体制を整え、一人ひとりが “魚のプロ” として自信を持てるようサポートしています。

このように、株式会社旬は「理念の実現」と「組織の成長」という2つの軸を両立しながら、堅実に出店を重ねている。単に規模を追うのではなく、 “人と文化に向き合う”  そんな姿勢が、同社の歩みにしっかりと根を下ろしているようだ。

Q3. 経営理念について伺います。「すべてはお客様のために」という言葉が印象的ですが、具体的にはどのような考えを大切にしているのでしょうか?

髙橋氏: はい。当社では「すべてはお客様のために」という企業理念を掲げています。この理念を現場で実践していくための行動指針として、「3つのそうぞうりょく」という考え方を全社で共有しています。

――  “3つのそうぞうりょく” とは、どういったものなのでしょうか?

まずは「想像力」。これは “お客様の立場になって考える力” です。今日より明日がより良いものになるようにと、お客様や取引先、仲間のために何ができるかを常に考える姿勢を意味しています。

次に「創造力」は、 “考えたことを実行する力” です。どれだけいいアイデアを持っていても、動かなければ現場は変わりません。しっかり行動に移していくことを重視しています。

そして3つ目の「総増力」は、造語なんですが、“想像”と“創造” を積み重ねることで、“会社全体の力を高めていく” という考え方です。変化の多い時代だからこそ、総合的に成長していける組織を目指しています。

―― なるほど。そうした考えを現場に伝えていくには、やはり継続的な取り組みが必要だと思いますが、実際にはどのように浸透させているのでしょうか?

毎月の店長会議などでこの “そうぞうりょく” の話をしていて、少しずつ浸透させていくようにしています。

まだ道半ばではありますが、店長やマネージャー層が理解し、実践していくことで、全体に広がっていけばと考えています。

理念は “掲げるだけ” ではなく、 “現場でどう活かすか” が問われる時代。

株式会社旬では、従業員一人ひとりが “想像し、創造し、会社の力を増やす” という意識を持ち、日々の業務に向き合っている。これこそが、理念の実現と成長の土台となっているのではないだろうか。

Q4. 売り場運営における “現場の裁量” について教えてください。

髙橋氏: 当社では、「商人」であるという意識をすごく大事にしています。社員一人ひとりが売り場を預かる責任者という考え方で、とくに店長に与えられる裁量は非常に大きいです。

たとえば仕入れに関しても、全店舗で「その日、店長が売りたい魚」を中心に、バイヤーに仕入れてもらっています。

立地や客層、商圏がそれぞれ異なりますので、マニュアルに沿って一律に運営することはしていません。その分、現場の判断と工夫が売り場に反映される仕組みになっています。

―― それだけ任されていると、店長自身の工夫や判断がそのまま売場に現れてくるわけですね。

ええ、実際、店長が異動すると売り場の雰囲気がガラッと変わることもあるくらいです。

それだけ自由度が高いということですが、それと同時に、業績に対する責任や結果も店長レベルで問われます。売上や粗利といった数字にしっかり向き合い、自分の考えや判断で結果を出していく必要がありますね。

ただ、その分やりがいも大きいですよ。自分の采配で成果が出たときは、達成感もひとしおですね。

売り場ごとに自由な発想と決断力が求められる。「現場主義」とも言えるこのスタイルは、売り場に立つ社員たちが “商人” として育つ環境を自然と生み出しているようだ。

そしてその裁量の広さが、社員一人ひとりの責任感や成長意欲を引き出す大きな原動力になっている。株式会社旬には、「自分で考え、自分で動かす」という働き方を通じて、現場から強くなる組織文化が根付いているのではないだろうか。

Q5. 現場スタッフの役割について伺います。店長以外のスタッフにも、売場づくりへの裁量があるのでしょうか?

髙橋氏: はい、もちろんです。店舗で主導権を握っているのは店長だけではなくて、現場のスタッフ一人ひとりにも大きな役割があります。

たとえば「今日はこの魚が残りそうだな」と感じたら、すぐに刺身に加工したり、盛り合わせにしたりする判断を現場でしています。そういった日々の判断が売場の鮮度を支えているんです。

―― たしかに、そうした対応力が現場全体の力につながっていくわけですね。お客様から見ても、毎日違った表情のある売場というのは、魅力的に映っていると思います。

そうですね。マニュアルがあっても、生鮮って毎日状況が変わるので、天候や仕入れの内容、お客様の流れを見ながら、その場で動きを決めないといけない。そういう意味では、誰がどう動くかによって売り場の鮮度が左右されると思っています。

あとは、やっぱり「毎日違う売り場をつくる」という意識も大事にしています。同じお客様が毎日来てくれることも多いので、飽きられない工夫が必要なんです。

日々小さな変化を積み重ねることで、お客様の満足度や信頼にもつながっていく。現場のスタッフが主体となって売場を動かしているのが、うちの大きな特徴かもしれません。

Instagramから引用

現場のスタッフ一人ひとりが、その場の状況を見極めて動く。株式会社旬の売場は、そうした判断と工夫の積み重ねによって支えられている。

こうした姿勢こそが、同社で働く上で求められる大切な資質ではないだろうか。

決まった形がないからこそ、スタッフの発想や行動がダイレクトに売場に反映される。柔軟性と当事者意識が、「鮮度のある売場」を日々生み出しているのだ。

Q6. 評価制度について伺います。店長の裁量が大きい分、数字の共有なども行われているのでしょうか?

髙橋氏: そうですね。株式会社旬では、店長クラスへの「数字の見える化」にも力を入れ始めています。

これまでは、売上と粗利ぐらいまでの共有だったのですが、今後は店長にも係長や部長クラスと同じように、もう少し踏み込んだ損益の数字まで共有していく方針です。

やっぱり、自分の店舗の数字をちゃんと理解している店長は強いですし、店舗運営に対する意識もまったく違ってきます。

―― 数字を知ることで、より経営的な視点も養われそうですね。

ええ、まさにそうなんです。単に “売るだけ” でなく、経費や人件費などにも目を向けるようになると、判断にも説得力が出てくる。

今はそういった数字を見ることが、昇給や昇格の評価基準にもつながっていきますし、そういう意味でも、数字に向き合う姿勢は大切だと感じています。

自由な売り場運営を支えるのは、個人の感覚やセンスだけではない。株式会社旬では、現場に数字を開示することで、店長一人ひとりが “経営者的視点” を持って店舗を運営できる環境づくりを進めている。

こうした仕組みは、現場力と責任感の両立を支える土台になっているようだ。

Q7. 採用にあたって重視している人物像と、経験者・未経験者それぞれに期待するポイントを教えてください。

―― 『スキルよりも、まずは人間性を見ている』といったお話もお聞きしましたが、改めて御社が求める人物像を伺えますか?

髙橋氏: はい、やっぱり最後は “人間性” ですね。

スキルや経験は後からいくらでも身につけられますが、素直さとか、前向きに学ぼうとする姿勢というのは、その人の根っこの部分ですから。そこがある人は、きっとどこでも伸びていけると思っています。

―― 姿勢や気持ちを大切にしているということですね。そのうえで、経験者にはどのような力を求めていますか。

経験者に求めるのは 、スピードだけでなく、クオリティを常に一定に保つことです。

刺身を引く速さだけでなく、厚みや形を毎回同じ精度で仕上げられるかどうか。忙しい時間帯でも品質を落とさず、安定した仕事ができる方を高く評価しています。

また、店舗によっては社員が2人ということもあるので、一日の作業を通してオールマイティーにこなせる能力は大切です。

―― 未経験の方に期待することは?

未経験の方には、着実に技術を身につけ、長く現場で活躍しようとする意欲を重視しています。

当社にはOJTと現場フォローがありますので、包丁に慣れるところから始め、コツコツと工程を覚えていける方であれば大歓迎です。

また、年末年始や連休などの繁忙期はとても忙しいので、そのあたりの理解もあってほしいですね。

株式会社旬の採用軸は、以下の三本柱。

① 人間性・素直さ
② 経験者=スピードと一定品質を両立する力、業務をオールマイティーにこなせる力
③ 未経験者=着実に技術を習得し、繁忙期も乗り越えながら長く働く意欲

OJTと現場フォローで未経験者をじっくり育てつつ、経験者の能力をしっかり評価できる仕組みを整えている。スキルの有無を問わず、それぞれの強みを伸ばしながら成長できる、柔らかくてフレキシブルな職場環境だと言えるだろう。

Q8. 最後に、応募を検討している方へのメッセージをお願いします。

髙橋氏: 私たちが目指しているのは、単に魚を売ることではなく、“魚のある日常” を地域に届け続けることです。

実際、パートスタッフからキャリアを重ねて店長になった例もあれば、定年を越えてなお現場に立ち続けるメンバーもいます。

やる気次第で活躍のステージはいくらでも広がりますし、年齢やバックグラウンドに関係なく挑戦できる環境が整っています。経験を活かしたい方も、新たな技術を身につけたい方も、ぜひ一度検討してみてください。

魚を売ることは、文化を届けることでもある。株式会社旬が求めているのは、スキルや実績よりも、「魚が好き」「お客様と向き合いたい」という、まっすぐな想いだ。

売場を一緒につくる仲間として、その想いに共感してくれる人との出会いを、同社は心から楽しみにしている。なお、このような方には、とくにおすすめしたい企業だ。

  • 未経験でもチャレンジしたい方
  • 技術や知識を活かしたい経験者
  • 魚や食べ物に興味がある方
  • 自分のアイデアで売場を動かしてみたい方
  • 手に職をつけて成長したい方
  • 定年後も長く働きたい方

どれかひとつでも「当てはまるかも」と思えた方は、きっと株式会社旬で活躍できるはず。魚が好き、現場が好き、そんな想いを持ったあなたを、同社は心から歓迎してくれるだろう。

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