ベイシアグループとは?企業一覧・歴史・規模・戦略を徹底解説

ベイシアグループとは?企業一覧・歴史・規模・戦略を徹底解説
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監修者のアバター       葛川英雄      

水産市場の競り人、生鮮食品業界、人材業界で培った豊富な経験を持つ食のプロフェッショナル。現在は株式会社オイシルの代表取締役として、10年以上の業界経験を活かし、生鮮業界やスーパーマーケット業界の発展に貢献しています。

ベイシアグループは、ベイシア・カインズ・ワークマンなどを中心に、多業態の小売・サービス企業が連携する国内有数の流通企業グループです。

本記事では「ベイシアグループとは何か」を起点に、理念・成り立ち・規模・主要企業一覧、そして近年のM&Aを含む最新動向までを一気通貫で整理します。持株会社を置かない独自の連携構造や、群馬発の全国ネットワークが生む強みを、各社の公式サイト・プレスリリース等の一次情報をもとに解説します。

※この記事は2026年3月時点の情報になります。

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目次

ベイシアグループとは

まずはベイシアグループの全体像として、どのような企業群で、どんな特徴的な統治・連携で成り立っているのかを確認します。

ベイシアグループは、食品スーパー・ホームセンター・作業服・家電・カー用品・物流・ITなど、生活に必要な領域を広くカバーする企業です。単一業態で規模を伸ばすのではなく、暮らしの周辺領域をつなぎ合わせて「買い物の便利さ」と「コスト競争力」を同時に高めてきました。

特徴は、企業ごとに事業の専門性を磨きつつ、調達・物流・ITといった共通領域で協力して全体最適を狙う点です。また、グループの成長は「一社が他社を吸収して大きくなる」よりも、強い事業を切り出して独立させ、機動力を上げる発想で進んできました。この成り立ちが、後述する持株会社型とは異なる「自律的な連携」の土台になっています。

グループの基本データ

ベイシアグループは約34社で構成され、店舗数は2,000店超、グループ総売上は2025年2月期で11,864億円(約1.19兆円)に達しています。主要チェーンは、食品・日用品を担うベイシア、住関連とDIYのカインズ、作業服からアウトドアまで広げたワークマンが代表例です。ここに、ハンズや専門店(家電・カー用品)などが加わり、生活領域を縦横に押さえるポートフォリオを形成しています。

特筆すべきは、物流やIT・金融・保険などの機能会社の存在です。 PB開発・在庫精度・配送効率・顧客データ活用といった「見えない価値」こそが、グループ競争力を左右します。

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項目内容
創業1958年(前身「いせや」創業)
本拠地群馬県(主要企業ベイシア:前橋市)
グループ構成社数34社(セーブオン撤退後、微減の可能性あり。2025年時点で34社確認)
展開エリア全47都道府県
店舗数2,000店超
株式上場ワークマンのみ上場(他社は非上場)
グループ経営理念“For the Customers ―より良いものをより安く―”

引用:株式会社ベイシア「グループ紹介」 

持株会社を持たない独自の連携構造

ベイシアグループは、典型的な持株会社が強い統制で子会社を管理する形とは異なり、前身の「いせや」を起点に派生した企業がそれぞれの独立性を保ちながら連携してきた歴史を持ちます。

グループを統括する持株会社は存在せず、創業家である土屋家やその関連企業による出資を軸とした連携関係のもとで各社が運営されています。グループ会社の要職には土屋家の人物が就任しているものの、主要企業間の出資関係は薄く、各社が独立した法人格を保ちながら協調するという構造が特徴です。

この構造のメリットは、各社が自分の市場に最適化した意思決定をしやすいことです。食品スーパーの価格政策と、ホームセンターのPB戦略、専門店の接客設計は競争の方向性が違います。一方で、ベイシアグループは商品開発・共同調達・共同出店・物流・ITなど「勝敗を分ける共通領域」に協力範囲を絞り込み、企業の独立性とグループ効果の両立を図ってきました。

参考:株式会社カインズ「ベイシアグループについて」

ベイシアグループの経営理念・経営基本方針

多業態をつなぐ共通言語として、理念・方針が何を重視しているかを確認すると、グループの意思決定や施策の方向性が読み解けます。業態が違えば顧客層も買い方も変わりますが、それでもグループとして同じ方向に進むには、現場が迷わない「判断の軸」が欠かせません。

グループ共通の経営理念「For the Customers」

ベイシアグループは創業以来、経営理念 “For the Customers ―より良いものをより安く―” を掲げ、グループ全社の事業活動の基軸としてきました。この理念は前身「いせや」の時代から受け継がれ、分社化を経て誕生した各社にも共通して根づいています。

「より良いものをより安く」という方向で重要なのは、安さを「仕入れの強さ」だけで作るのではなく、物流の積載率・在庫回転・作業動線・情報システムなど、構造的な効率で作ることです。構造で原価を下げられれば、品質を落とさずに価格を抑えやすくなります。

また、業態が違っても「生活者の困りごとを解決する」という方向性がグループ全体で共通しているのが強みです。食品は日々の負担軽減、ホームセンターは住まいの課題解決、ワークマンは機能性と価格の両立といった形で、顧客価値の表現は変わっても根は同じです。

引用:株式会社ベイシア「グループ紹介」 

グループ各社に共通する「クリーンポリシー」と3つの信条

グループは経営理念に加え、公正・公明な企業姿勢を担保するためのクリーンポリシーを明文化しています。内容は「取引先からの金品の贈受・貸借または酒食の供応を受けない」「上司へはもちろん、社員間の虚礼を行わない」「部下および社員間の金銭貸借を行わない」の3点です(原文ママ)

また、グループ共通の事業信条として「うるおいと節約を提供する店舗と業態を開発しつづけ”商の山脈”をつくりあげる」「高速回転の追求と簡素で効果的なローコスト経営に徹し、安く売っても儲かる仕組みを確立する」「人間尊重の精神で人の育つ環境をつくり、衆知を集めて絶えずイノベーションに挑戦する」の3点が定められています(原文ママ)。

こうした行動規範は教育コストを下げる効果もあり、人の入れ替わりが一定ある業界において現場の判断速度と接客品質の安定につながっています。

引用:株式会社ベイシア「企業理念」 

ベイシアグループの歴史|創業から1兆円達成・M&A転換まで

ベイシアグループを理解するにあたって意識したいのは、成長の原動力が何度も切り替わっている点です。創業期は地域密着の小売として基盤を築き、成長期は事業の専門化を目的に分社化を進め、現在はM&Aによって地域と業態を補完する段階に入っています。

前身「いせや」の創業と総合小売への発展

1958年、群馬県伊勢崎市に「株式会社いせや」が設立されました。翌1959年には同市にスーパーマーケット「いせや」の1号店が開店し、食品・衣料品・生活用品全般を扱う総合小売業として地域への浸透が始まりました。創業期から地域で支持を集めてスーパー業態としての基盤を作ったことが、その後の多業態展開の礎となっています。

成長の過程では衣食住へと取り扱い領域が広がり、総合小売として生活者の買い物を一括で支える方向に進みます。また、1974年にはコンピュータを導入してシステム化に着手するなど、当時としては先進的な経営改革にも取り組んでいました。小売の競争力は店頭だけで決まらず、バックヤードの仕組みが長期の価格と品質を左右することを、この時期から重視してきたといえます。

引用:株式会社ベイシア「沿革

主要7社への分社化の流れ

1970年代後半からベイシアグループの成長を支えたのは、総合小売の各機能を専門会社として独立させる分社化戦略です。

分社化のメリットは、意思決定が市場に近くなることです。商品開発のサイクル・店舗投資の考え方・人材育成の方法は業態で異なります。分社化により各社が勝てる型を磨きやすくなり、結果としてグループ全体の競争力が高まりました。

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出来事
1978年「いせやホームセンター」1号店開店(カインズの前身)
1982年ワークマン設立(作業服専門チェーン)
1984年セーブオン設立(コンビニエンスストア)※2026年3月撤退
1989年カインズ設立(ホームセンター事業を分社)
1997年ベイシア設立(スーパーマーケット事業を分社)
2000年スーパーセンター1号店オープン(渋川こもち店)
2001年ベイシア単体で売上高1,000億円達成

同時に、共通の調達・物流・ITを連携領域として残すことで、分社化のスピードとスケールメリットの両取りを狙う構造が形成されました。「いせや」を発展的に解消し、各専門企業が自律的に成長するグループ形態を確立したことが、その後の大規模化の土台となりました。

引用:株式会社ベイシア「沿革」 株式会社カインズ「沿革

2020年、グループ年間総売上1兆円の達成

2020年10月、ベイシアグループはグループ総売上1兆円を達成したと発表しました。1959年のスーパーマーケット1号店開店から61年目での達成でした。その後も成長を続け、025年2月期のグループ総売上は11,864億円(約1.19兆円)に達しています。株式を上場せず持株会社も持たないという独自の形態のまま到達した点は、流通業界内で特筆されています。

この規模感が効くのは、共同調達やPB開発のような表側だけではありません。在庫の持ち方・配送の組み方・店舗オペレーションの標準化など、細かな改善が積み重なるほど効果が出ます。スケールは、改善の成果を全店に横展開できる「複利」を生みます。

引用:株式会社ベイシア「グループ売上1兆円達成のお知らせ

2022年以降のM&A路線への転換

ベイシアグループはもともと、他社とのM&Aを行わずに有機的な成長を続けてきたことを強みとしていました。しかし2021年から2022年にかけてカインズが東急ハンズの買収などを実施したことで、その方針に転換が生じました。

近年のM&A路線への転換は、成長余地の獲得とポートフォリオ強化を同時に進める狙いがあります。既存の出店だけで全国を埋めるのは時間がかかり、地域ごとの競争も激しいため、外部企業の参画で面を一気に広げる合理性が高まっています。

例えばハンズのグループ参画は、都市型の生活文化提案という領域を補完し、郊外中心の強みと異なる顧客接点を得る動きとして捉えられます。M&A後に重要なのは統合の順番であり、ブランドや現場文化を急に変えるより、調達・物流・会員データ・システム基盤など効果が出やすい領域から合わせるとシナジーが実現しやすくなります。

2025年には三心・大都・トップワンが相次いでグループに参画し、拡大路線はさらに加速しています。

引用:株式会社カインズ「沿革

ベイシアグループの規模とネットワーク

全国47都道府県規模のネットワークは、グループ戦略(出店・調達・物流・デジタル)の前提条件になります。ベイシアグループの強みは、単に店舗が多いことではなく、業態の違う店舗が全国に点在し、生活の複数シーンで接点を持てることです。

全国ネットワークは調達にも効き、大量仕入れによる条件改善だけでなく、地域商品を別地域へ展開するなど、販売データと物流が連動することで商品政策の選択肢が広がります。

店舗数・展開エリアの現状

2024年時点において、ベイシアグループは全国47都道府県に2,000店超の店舗を構えています。業態別に見ると、食品スーパー・ホームセンター・作業服・機能衣料・専門店などがそれぞれの密度で全国に展開しています。

業態主な展開エリア
ベイシア(スーパーマーケット)1都14県・135店舗(2025年2月末時点)
カインズ(ホームセンター)29都道府県・約250店舗
ワークマン(作業服・アウトドア)全国(フランチャイズ中心)
ハンズ(ホームセンター・雑貨)渋谷・新宿・大阪梅田など都市部中心

同じ「全国展開」でも、業態ごとに伸び方は異なります。ベイシアは関東を中心に厚みを作り、ワークマンはフランチャイズを活かして全国へ広く、カインズは住関連需要のあるエリアで強いといったように、各業態が最適な商圏で深みを持ちながらグループ全体として面的な展開を進めています。

引用:株式会社ベイシア「会社概要」 株式会社カインズ「くみまち構想

群馬を起点とした全国展開の構造

ベイシアグループは群馬を起点に、まず関東で出店密度を高め、そこから各業態の強みを武器に全国へ広げてきました。前橋市にベイシアの本社が、本庄市にカインズの本社が置かれており、地盤がある地域では物流・人材面の効率が出やすく、利益を確保しながら次の地域へ投資しやすくなります。

特徴的なのは、共同出店や複合立地の発想です。ベイシアやカインズを主軸に複数業態が同一のモール内や隣接地に集まる「商のマウンテンチェーン(モール)」の形成により、食品・住関連・専門店の買い回りが生まれ、地域にとって「ここに来れば用事が済む」拠点が作られています。

これは競合対策だけでなく、顧客の移動コストを下げる価値提供でもあります。全国化の観点では、拠点配置・配送ルート・在庫持ち方の設計が収益性を左右しており、広げ方が「点の増加」ではなく「面の最適化」になっているかがネットワークの強さを決めます。

引用:株式会社ベイシア「グループ紹介」 

ベイシアグループの企業一覧

グループを構成する34社を業態別に整理します。ベイシアグループの企業を理解するうえでは、「頻度の高い基礎需要」と「専門性の高い目的買い」、そして「それを支える基盤」に分けると全体像がつかみやすくなります。

食品スーパーは日常の来店頻度を作り、ホームセンターや専門店は単価と体験で補完し、物流・ITなどが全体の効率を底上げします。

食品スーパー系(ベイシア・三心・トップワン)

食品スーパー系は、食と日用品という「基礎需要」を担い、グループの来店頻度と生活インフラ性を支える役割を担っています。価格・安定供給・買いやすさが最重要で、物流やオペレーション改善の成果が最も表に出やすい領域でもあります。

ベイシア

ベイシアは、ラテン語で「良い・善」を意味する「Bene」と前身「いせや」の「Iseya」を組み合わせた造語を社名とするスーパーマーケットチェーンです。衣食住の商品を扱うスーパーセンター型の強みがあり、郊外でのワンストップ購買に適しています。食品だけでなく日用品までまとめ買いできる設計は、家計の時間コストを下げる価値につながっています。

引用:株式会社ベイシア「会社概要

三心

三心は、岐阜県・愛知県を中心にスーパーマーケット「スーパー三心」を9店舗展開してきた地域密着型の企業で、2025年10月31日付でベイシアの完全子会社となりました。「ドライグロッサリーのディスカウントスーパー」として地域で支持を集めてきた屋号は当面維持されます。グループとしては、地域性を残しながら共同調達・PB・物流最適化で収益構造を改善できる余地があり、相互補完の関係が作りやすいカテゴリです。

引用:株式会社ベイシア「より地域に密着した企業を目指して」2025年9月24日 

トップワン

トップワンは1983年創業で愛知県に8店舗・岐阜県に1店舗を運営する食品スーパーです。2025年12月25日にベイシアがプレスリリースを発表し、同月26日付でトップワンの親会社であるトップホールディングスの全株式取得が完了し、グループに参画しました。

引用:株式会社ベイシア「暮らしに寄り添い、地域とともに歩む スーパー「ベイシア」と「トップワン」、新たなパートナーに」2025年12月25日

ホームセンター・ライフスタイル系(カインズ・ハンズ・大都)

このカテゴリは「暮らしの課題解決」を担います。食品と比べると購入頻度は下がりやすい一方、商品点数が多くPB開発や売場提案で差が出ます。店舗体験がそのままブランド力になります。

カインズ

カインズは1989年に設立されたホームセンターチェーンで、「くらしDIY」をブランドコンセプトに掲げ、29都道府県で約250店舗を展開しています。DIYや住関連で強みを持ち、PBや使い勝手の良い商品開発は「価格だけでなく選ぶ手間を減らす」価値にもつながっています。なお、ホームセンター業界における売上高首位については、カインズ公式サイトに2019年度実績として記載されています。

引用:株式会社カインズ「ベイシアグループについて

ハンズ

ハンズ(旧:東急ハンズ)は都市型の生活文化提案を軸に、発見性のある売場と編集力が特徴の企業です。2022年3月31日に東急グループからカインズが全株式を取得し子会社化し、同年10月1日に現在の社名へ変更しました。渋谷・新宿・大阪梅田など都市部の主要商圏に店舗を構えており、郊外型中心だったグループに都市の顧客接点とトレンド感を補完しています。

引用:株式会社カインズ「沿革

大都

大都は1937年創業の工具問屋をルーツに持ち、2002年にEC事業へ転換した大阪発の企業です。DIY用品ECサイト「DIY FACTORY」や建築・建設・製造業向けBtoB-ECサイト「トラノテ」を運営しており、400万点以上の工具・資材を取り扱っています。

工具・資材の供給やデータ連携は店舗中心の流通とは異なるサプライチェーンの強化につながり、グループ全体の競争力を内部から押し上げます。2025年12月30日付でカインズへの全株式譲渡が完了しました。

引用:株式会社カインズ「カインズ、大都の全株式取得を完了」2025年12月30日

専門チェーン(ワークマン・ベイシア電器・オートアールズ)

専門チェーンは、特定領域での深い品ぞろえと専門性で選ばれます。食品やホームセンターと違い、機能・知識・サービスが購買理由になりやすく、ブランドの独自性が武器になります。

ワークマン

ワークマンは作業服・アウトドアウェアの専門チェーンで、グループ内で唯一株式上場している企業です。主力ブランド「ワークマン」に加え、カジュアル需要に対応した「ワークマン プラス」の展開も加速させています。フランチャイズ中心の展開は出店スピードと全国網の形成に適しており、グループ内でも広域ネットワークを担う企業の一つです。

ベイシア電器

ベイシア電器は家電量販店チェーンで、前身「いせや」の時代に「いせやデンキ」として分社したグループの中でも歴史の古い企業の一つです。家電は単価が高い分、信頼とアフター体制が選定に影響します。

オートアールズ

オートアールズはカー用品専門店チェーンであり、2022年5月付でカインズの子会社に位置づけられました。「オートアールズ」に加え、カインズとの連携を強化した整備・取付サービス特化型の「カインズオート」も展開しています。ベイシアやカインズとの複合出店が進むと、来店頻度と客単価の両面で相乗効果が期待できます。

参考:株式会社カインズ「ベイシアグループについて

機能会社・サービス企業(グループを支える基盤)

多業態グループが強くなるかどうかは、店舗以外の基盤機能で決まる面があります。物流は配送頻度と積載効率・在庫精度が価格と欠品率に直結し、IT・デジタルは発注・価格・会員・販促・業務標準化を支える基盤となっています。

多業態ほどデータが分断されやすいため、共通基盤を整えることがシナジーの前提となります。

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企業名役割・概要
ベイシアグループ総研グループ各社の事業サポート・新事業フィールドの開拓・経営人材の育成(2021年1月設立)
くみまちフィンテックグループ小売事業と金融サービスの連携を目的に2021年7月設立。グループ各社へ金融サービスを提供
アイシーカーゴカインズ・オートアールズを中心とするグループ店舗への商品配送・管理を担う物流専門企業
ベイシアグループソリューションズグループ横断のITシステム支援
日本ペット少額短期保険ペット保険「いぬとねこの保険」の開発・販売。ベイシアグループ総研の子会社として2025年6月グループ参画
ベイシアスポーツクラブスーパーモールいせさき内に展開するスポーツクラブ
ザスパ群馬県全域をホームタウンとするJリーグクラブ「ザスパ群馬」の運営会社。2025年5月グループ参画

引用:株式会社カインズ「ベイシアグループについて

ベイシアグループのグループ戦略

ベイシアグループの戦略は、各社の独立性を維持しながら、成果が出やすい方向が共通する領域に横串を刺すことです。全社を同じルールで縛るより、連携する領域を選び成果が出やすいところから共同化するほうが、多業態には適しています。

特に、小売は原価と運営コストの戦いであり、商品開発・調達・物流・ITが連動すると価格だけでなく、品ぞろえの精度や欠品の少なさ、販促の打ち手の速さといった体験品質にも差が出ます。

4領域にわたるグループ連携の仕組み

連携の中心は、商品開発・共同調達、出店・SC開発、物流・ロジスティクス、IT・データ活用と人材育成の4領域に整理できます。各社が別々に取り組むと重複やムダが出やすく、横断の効果が大きい部分です。

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連携領域具体的な内容・狙い
商品開発・共同調達PBの拡充・仕入れ条件の改善に加え、規格統一による物流効率化まで含めて設計。安さを仕入れ値だけでなく構造で作る
共同出店・SC開発ベイシア・カインズを主軸としたグループ企業が集まるモールの開発。各社の送客にもつながる
物流・ロジスティクスアイシーカーゴを中心とした在庫回転と配送網の最適化で利益を作る領域
情報システム・DXベイシアグループソリューションズによるITインフラの共有化。現場の判断を早くする

なかでも共同出店(モール形成)戦略は、グループの出店コスト効率と顧客の利便性を同時に高める仕組みとして機能しています。ベイシアとカインズが主要店舗となり、ワークマン・オートアールズなどグループ各社が集まるモールは、消費者にとって「一度の来店で生活全般のニーズが満たせる場所」として定着しています。

引用:株式会社ベイシア「グループ紹介」 

東海地域への攻勢と地域密着スーパーの取り込み

東海地域への攻勢は、単なる出店増ではなく、面としての地盤づくりに近い動きです。三心やトップワンの参画は、地域の顧客理解・商圏特性・地場の調達網を獲得できる点が大きく、ゼロからの立ち上げよりも参入コストを抑えられます。

ベイシアは2025年2月時点で135店舗を展開しており、岐阜・愛知・静岡・滋賀を加えた東海4県での展開を重点施策に位置づけています。同年10月に三心(岐阜・愛知9店舗)、12月にトップワン(愛知・岐阜9店舗)を相次いで子会社化したことで、東海エリアにおけるドミナント出店体制の構築が加速しています。

いずれの買収においても、既存の屋号・雇用・経営体制は当面維持する方針が示されています。地域スーパーは地場の人気商品や接客・売場の癖が支持につながっているため、まずは共同調達・PB・物流・ITといった内部構造から改善し、現場の良さを残しながら利益体質を強めるアプローチが採られています。

成功すれば、東海の学びを他地域に移す、あるいは他業態の顧客を東海で獲得するなど、ネットワークの価値が「点」から「面」へ広がっていきます。

引用:株式会社ベイシア「より地域に密着した企業を目指して」2025年9月24日

ベイシアグループの社会・地域への取り組み

流通は、エネルギー使用や物流・食品ロスなど環境負荷が大きくなりやすい一方、改善の余地も大きい業界です。店舗と物流の効率化はコスト削減と環境対応が同じ方向を向きやすく、継続投資の正当性を作れます。また、地域貢献は企業イメージだけでなく採用や定着にも影響し、地域に根付く企業ほど地域投資がそのまま事業基盤の安定につながります。

環境への取り組み

カインズは2022年6月、国内初のCO2フリー店舗として壬生店(栃木県)をオープンしました。地元栃木県の間伐材などを燃料とする木質バイオマス発電事業者からの電力調達と、店舗屋上への太陽光パネル設置を組み合わせることで、店舗で使用する電力の100%を再生可能エネルギーで調達する「電気の地産地消」を実現しています。

2023年6月末時点では全店舗の約25%(56店舗分)の電力使用量をカーボンゼロ化しており、2050年カーボンゼロを長期目標に掲げています。また、「園芸用土の水平リサイクルシステム」がグリーン購入大賞の農林水産特別部門で大賞を受賞しています。

使用済み園芸用土を回収・再生して再び製品として販売するこの仕組みは、廃棄物削減と資源循環の両立を体現した取り組みとして外部からも高く評価されています。環境施策はコスト削減効果も大きく、景気に左右されにくい継続性の高い投資になりやすい点が特徴です。

引用:株式会社カインズ「2025年Scope2カーボンゼロ達成目標に向けた取り組み」 「くみまち構想

地域貢献活動(命名権・スポーツ支援)

ベイシアは2009年4月から群馬県民会館のネーミングライツを取得し、「ベイシア文化ホール」として地域の文化施設を継続的に支援しています。グループ発祥の地である群馬県との結びつきを象徴する取り組みの一つです。

2025年5月にベイシアとカインズが共同でザスパ群馬(Jリーグ所属)の運営会社の議決権を過半数取得し、グループに迎え入れました。地域に根付く小売は顧客と従業員の生活圏が重なるため、地域投資がそのまま事業の安定につながるという循環を作りやすいです。

引用:株式会社カインズ「沿革

ベイシアグループの最新動向(2025〜2026年)

直近は、事業ポートフォリオの入れ替えと地域戦略の強化が同時進行しています。個々のニュースを「点」でなく「戦略の線」として整理します。2025〜2026年はグループの輪郭がさらに明確になる時期であり、伸びる領域に資源を寄せ、採算・競争環境が厳しい領域は整理するというポートフォリオ最適化の色が濃くなっています。

セーブオンのコンビニ事業撤退(2026年3月)

セーブオンは1984年に「いせや」から分社したコンビニエンスストアチェーンであり、北関東を中心に展開してきました。しかし2018年までに自社ブランドの展開を停止し、ローソンのメガフランチャイジーとして運営する形態へ移行していました。その後も法人格を維持し続けていましたが、2026年3月1日付でローソンへの事業承継が完了し、ベイシアグループはコンビニエンスストア事業から正式に撤退しました。

撤退の背景は採算性だけでなく、経営資源の集中という観点で理解するとわかりやすいです。コンビニ市場は商品開発・物流・IT投資が巨大で規模やブランドによる優位が出やすく、食品スーパー・ホームセンター・専門店といったグループが強みを伸ばしやすい領域に人材と投資を集中する判断です。

撤退は「縮小」ではなく「再配分」であり、これによりグループの事業ポートフォリオは食品スーパー・ホームセンター・専門チェーンへと集約される形となりました

参考サイト:日本経済新聞「セーブオン、ローソンに事業承継 ベイシアグループはコンビニ撤退

三心・トップワン・大都の相次ぐグループ参画(2025年)

三心・トップワン・大都の参画は、地域・業態・基盤の3つを同時に補強する動きとして整理できます。地域面では東海エリアの面補完、業態面では食品とEC・建設建築業向け販売の強化、基盤面では調達・IT・物流の拡張につながります。

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企業名参画完了日業態エリア
三心2025年10月31日食品スーパー(9店舗)岐阜県・愛知県
大都2025年12月30日DIY用品EC(トラノテ・DIY FACTORY)大阪市(全国EC)
トップワン2025年12月26日食品スーパー(9店舗)愛知県・岐阜県

シナジーの具体例としては、共同調達による原価改善・PBの導入と共同開発・物流の共同化による配送効率改善・会員と購買データを活かした販促最適化などが想定されます。特に地域密着企業の場合は地元で支持される理由を壊さないことが前提であり、グループ基盤で内部構造を強化しつつ地域の品ぞろえや運営の良さを伸ばす統合モデルが作れれば、参画の価値は最大化します。

三心・トップワンの取り込みはベイシアによる東海エリアのスーパーマーケット網強化、大都のグループ化はカインズによるEC事業・建設建築業向け市場への本格展開をそれぞれ意図したものです。

まとめ

ベイシアグループの要点は、持株会社を置かない独自の連携構造、分社化で専門性とスピードを高めてきた歴史、全国47都道府県に広がるネットワーク、カテゴリ別に幅広い企業群を持つ点にあります。

戦略面では、商品開発・共同調達・共同出店・物流・IT・データ活用と人材育成といった横断領域で連携し、各社単独では出しにくいスケールメリットを作っています。

近年はM&Aで地域と業態を補完しつつ、セーブオンの撤退のような資源集中でポートフォリオ最適化も同時に進めています。その過程で一貫して守られてきたのが、”For the Customers ―より良いものをより安く―” という経営理念です。

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