PPIH、老舗スーパー「オリンピック」を7月めど完全子会社化

PPIHが買収するオリンピックは、首都圏を中心に約120店舗を展開する中堅スーパーです。しかし近年、人件費や光熱費の高騰などで業績が低迷し、赤字が続いていました。
PPIHは今回の買収により、オリンピックの店舗を「ドン・キホーテ」や新業態「ロビン・フッド」に転換していくものと見られます。
この買収は、PPIHにとって二重の意味を持ちます。
一つは、不採算店舗の再生によるグループ全体の収益力向上。もう一つは、新業態「ロビン・フッド」の首都圏展開を大幅に加速できることです。
買収の背景:「ロビン・フッド」首都圏展開の加速

PPIHは今年3月3日、スーパーとドン・キホーテをかけ合わせた新業態「驚楽の殿堂 ロビン・フッド」を発表したばかりです。
当初の計画では、2026年6月までに東海地方で5店舗を展開開始し、2027年以降に首都圏へ進出する予定でした。
しかし、今回のオリンピック買収により、この計画は大幅に前倒しされる可能性が高まりました。
オリンピックの既存店舗をロビン・フッドに転換することで、初期投資を抑えながら一気に首都圏での店舗網を拡大できるからです。
首都圏約120店舗という既存のネットワークは、PPIHにとって極めて魅力的な資産です。
「ロビン・フッド」とは──スーパー×ドンキ融合の新業態

改めて、「ロビン・フッド」とはどのような業態なのでしょうか。

コンセプトは「スーパーみたいでスーパーじゃない」。”食品強化型ドンキ”とも謳う新業態です。
最大の特徴:非食品40%

一般的なスーパーの非食品売場面積は10%程度ですが、ロビン・フッドではドンキ取扱の非食品を40%にまで拡大します。
非食品は、ドンキ取扱品から厳選した商品を5つのテーマで揃えます。
- エンタメ(子供向け商品も充実)
- ワンマイル(肌着やルームウェア)
- ウェルネス(健康食品など)
- 美容(コスメやドライヤーなど)
- 日用品(消耗品や雑貨)
ユニーの生鮮調達力×ドンキの編集力

PPIHが強調するのが、「ユニーの生鮮調達力×ドンキの編集力・ディスカウント性」という方程式です。
PPIH傘下のユニーはスーパーを展開し、長年にわたり生鮮調達力などのノウハウを蓄積してきました。これにドンキの棚作りや非食品による高い収益性・安定性、ドンキの”ディスカウント性”をかけ合わせるのがロビン・フッドです。
生鮮・惣菜では「ラク」にフォーカスし、味付け済みで焼くだけの肉、レンジで温めるだけの焼き魚、骨取り済みの魚など、簡便商品を充実させます。
おにぎりは85円~という安価な設定で、「紅生姜」など変わり種を含めて30種類以上をラインナップ。「ロビンのうどん屋さん」では、うどんや出汁、バイキング形式の天ぷらを選び、自分好みの1杯にできます。
プライベートブランドも展開し、価格訴求、付加価値、時短、省手間という4つのテーマで、計50アイテムからスタート。100アイテムにまで拡大する予定です。
2035年目標:全国200~300店舗、売上6,000億円
PPIHは、ロビン・フッドの売上・利益目標を2035年までに売上高6,000億円、営業利益360億円(利益率6%)と設定しています。
第1号店は愛知県あま市甚目寺に4月24日オープン予定の「ロビン・フッド 甚目寺店」。2026年6月までに東海地方で5店舗を展開する計画です。
当初はPPIH傘下のユニーが展開するスーパー「ピアゴ」の既存店の業態転換などで初期投資を抑える方針でしたが、今回のオリンピック買収により、首都圏でも同様の戦略が可能になります。
2035年までに全国で200~300店舗へ拡大するのが目標で、PPIHの国内事業は今後、ドン・キホーテ、ユニー、ロビン・フッドの3つを柱にしていく方針です。
首都圏スーパー競争が激化──トライアル×西友に続く大型M&A

今回のPPIHによるオリンピック買収は、首都圏スーパー業界における勢力図を大きく塗り替える可能性があります。
物価高や人手不足を背景に、スーパー業界では再編の波が加速しています。2024年にはディスカウント大手の「トライアル」が「西友」を買収するなど、大型M&Aが相次いでいます。
共通するのは、ディスカウント勢力主導の再編という点です。
従来、ディスカウントストアとスーパーマーケットは明確に区別されていました。しかし、物価高と人手不足という環境変化の中で、両者の境界が曖昧になりつつあります。
ディスカウント勢力は、低価格という強みを維持しながら、生鮮食品の取り扱いを強化することで、総合スーパーの領域に進出しています。
まとめ:スーパー業界再編の新潮流

株式会社オイシルは、生鮮・食品業界専門の人材紹介・求人メディアを運営しています。業界全体の動向を見る中で、PPIHのオリンピック買収とロビン・フッド戦略は、スーパー業界再編の新たな潮流を象徴しています。
PPIH代表取締役COOの鈴木康介氏は、ロビン・フッド発表時にこう語っています。
「ディスカウント要素を継続しながら、高まる食品ニーズに応えていく。土台になるのはユニーの生鮮調達力。ユニーの生鮮とドンキの編集力・ディスカウントを組み合わせたものは、唯一無二の”勝てる方程式”だ」
トライアルによる西友買収に続き、PPIHによるオリンピック買収。スーパー業界では、ディスカウント勢力主導の再編が加速しています。
オリンピックの店舗が今後どのように転換されていくのか、ロビン・フッドの首都圏展開がどう進むのか、業界全体が注目しています。
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