青果を扱う会社を見てみよう!業態別の特徴と仕事をわかりやすく解説します

青果の卸売市場とは? 制度・仕組みから最新トレンドまで
  • URLをコピーしました!

この記事の監修

監修者のアバター       葛川英雄      

水産市場の競り人、生鮮食品業界、人材業界で培った豊富な経験を持つ食のプロフェッショナル。現在は株式会社オイシルの代表取締役として、10年以上の業界経験を活かし、生鮮業界やスーパーマーケット業界の発展に貢献しています。

私たちの食卓に欠かせない野菜や果物。その流通を支えているのが、全国各地にある青果に関わる会社です。

しかし、これほどにも身近にも関わらず、「青果の会社って、どんな種類があるの?」「仕事の内容って、具体的にどのような感じ?」と聞かれると、なかなかイメージが湧きにくいかもしれません。

そこで、本記事では、青果業界に関わるさまざまな会社の種類や、それぞれが担う役割、仕事の特徴をやさしく解説していきます

業界の流れをつかむところから始まり、どんな会社が多く、どう選べばいいのかまで、初心者にもわかりやすくまとめました。青果業界に興味がある方や、働いてみたい方はもちろん、流通や地域に関心のある方にもおすすめの入門ガイドです。

目次

【青果流通のしくみ】生産から販売までの全体像は?

【青果流通のしくみ】生産から販売までの全体像は?

青果の流通には、実に多くの会社や工程が関わっており、それぞれが専門的な役割を担いながら連携しています。まずは、生産から消費までの流れと、それに関わる主な会社・職種について整理しましょう。

基本的な流れは、生産地から出荷された青果が、市場や取引先を経由して、最終的にスーパーや飲食店といった消費者のもとに届く、というものです。

  1. 生産地からの出荷
     農家や農業法人などが、収穫した青果物を市場や取引先に向けて出荷する。
  2. 卸売市場での取引
     青果物は中央卸売市場などに集められ、ここで卸売業者や仲卸業者を介して売買される。セリや相対取引によって価格が決まり、買い手が決まる。
  3. 物流・加工・保管の工程
     物流会社が鮮度を保ったまま運搬を担い、加工業者が用途に合わせてカット・袋詰めなどを行う。
  4. 小売・外食・ECなどへの納品・販売
     最終的には小売企業や外食産業、ECサイトなどを通じて消費者に届けられる。

この流れの中で、各会社は「卸売」「仲卸」「物流」「加工」「小売」など明確に機能分担されており、それぞれの専門性が日々の取引・配送・品質管理を支えています。とくに青果は鮮度が落ちやすい商材であるため、こうした分業と連携の構造が流通の質を左右する重要な要素となっているのです。

青果に関連する会社とは? 卸・物流・加工・小売の役割を解説

青果に関連する会社とは? 卸・物流・加工・小売の役割を解説

青果流通の全体像を把握したところで、ここからはそれを支える具体的な業種について見ていきましょう。
一口に青果を扱う会社といっても、その業態は多岐にわたります。どこで何をしているのか、どのような役割を担っているのか、その会社の特徴や仕事内容をまとめました。

① 仲卸・卸売会社|市場で青果を動かす流通の要(かなめ)

青果流通の中心地ともいえる「卸売市場」では、毎日大量の野菜や果物が取引されています。この場で活躍するのが、卸売会社仲卸業者です。

卸売会社は、生産者や出荷団体から青果物を預かり、セリや相対取引を通じて市場に流通させる役割を担っています。全国の市場に存在し、公共性の高い機能を果たしている点が特徴です。

一方、仲卸業者は、卸売会社から青果物を買い付け、小売業者や外食事業者などに合わせて仕分け・販売します。商品の目利きや旬の把握、買い手ごとのニーズ対応が求められる、いわば “現場力”のプロフェッショナル。

早朝から動き出すこの仕事は体力も必要ですが、青果の相場感や売れ筋を最前線で学べる環境でもあります。とくに、食材の流れを肌で感じたい人や、実務の中で成長したい人には向いている職種といえるでしょう。

② 物流・配送会社|鮮度を守る縁の下の力持ち

青果物は生鮮食品であるため、スピードと温度管理が品質維持の鍵を握ります。こうした鮮度を保ち、安全に届ける役割を担うのが、物流・配送を専門とする会社です。

これらの企業は、冷蔵車によるルート配送や温度管理された倉庫での保管など、青果を適切な状態で運ぶための設備とノウハウを備えています。

近年は物流業界全体で効率化・自動化が進んでおり、青果分野でも配送ルートの最適化や管理システムの導入が進行中です。ただ運ぶだけでなく、実務力や現場対応力が求められる仕事といえるでしょう。

③ 加工・パッケージ会社|手間なく使える青果を届けるために

おうち食が定着した今、需要が増えているのが青果の加工品です。
カット野菜や袋詰めのフルーツなど、すぐに使える状態の商品を手がけるのが、加工やパッケージを専門とする会社にあたります。

このような会社では、仕入れた青果を洗浄・カット・袋詰め・ラベル貼付といった工程を経て、使いやすい形に仕上げていきます。
作業は清潔な環境と厳しい衛生管理のもとで行われ、見た目の美しさや日持ちの工夫など、細やかな品質管理も欠かせません。

現場ではライン作業や検品が中心となりますが、出荷量に応じた体制づくりや、繁忙期への柔軟な対応も求められます。単純作業に見えて、現場全体の流れを読む力やチームでの連携も問われる仕事でしょう。

さらに近年では、プラスチック削減やフードロス対策といった、環境に配慮した取り組みも進んでおり、社会的な意義も感じられる分野といえるかもしれません。

④ 小売店|消費者と青果をつなぐ最前線

青果流通の最終地点を担うのが、スーパーマーケットや青果専門店といった小売業です。消費者が実際に商品を手に取る場所であり、青果の見せ方や売り方が売上に直結する重要なポジションです。

店舗では、商品の鮮度や見た目、品ぞろえの管理はもちろん、売場づくりや販促企画なども小売業の大事な役割。天候や曜日、地域のニーズに応じて柔軟に対応する力が求められます。

また最近では、地場野菜の仕入れや簡便商品(カット野菜・ミールキットなど)の展開など、売場の差別化を図る取り組みも広がっています。

最近注目されている会社の形は「EC系企業」と「複合型企業」!

最近注目されている会社の形は「EC系企業」と「複合型企業」!

青果流通の世界では、従来の卸や物流に加えて、近年新たに注目を集める会社の形が登場。とくに、オンラインでの販売を展開するEC系企業や、流通の各工程を自社内で一貫して行う複合型企業は、業界の新たな可能性として注目を集めています。

ここからは、そうした「最近伸びている業態」にフォーカスし、それぞれの特徴や成長の背景をご紹介。あわせて、就職先としてどんな可能性があるのかという視点でも整理していきましょう。

EC系企業の広がり|ライフスタイルの変化に応える流通形態

青果を扱う会社の中でも、消費者ともっとも近い距離にあるのが、小売EC(オンラインで青果を販売するサービス)に特化した企業です。

スーパーマーケット、青果専門店、宅配サービス、オンライン販売など、その形態は年々多様化。ライフスタイルの変化に合わせて、販売のかたちはどんどん進化しています。

最近では、ITやデータを活用した発注・販促の最適化も進んでおり、販売現場の役割も大きく変わりつつあります。
単なる販売にとどまらず、トレンドを読み、提案型の売場づくりに関わる面白さ、自分のアイデアが売上に直結するという手応えも感じられるでしょう。

グループ・複合型企業|一社完結型が増えている理由とは?

近年、青果流通の効率化を目的に、仕入れから物流、加工、販売までをグループ内で一貫して担う企業が増えています。
このような体制により、スピード対応や品質の安定化が図れるだけでなく、コスト面でも優位性を発揮しやすいといったメリットがあります。

また、こうした企業では部門ごとに役割を分担しながらも、情報共有や連携が密に行われているのが特徴です。
たとえば、売場からのリアルタイムな売上データをもとに、加工内容や仕入れを柔軟に調整するといった仕組みも導入されています。

特定の工程だけでなく、流通全体を見渡す視点が求められるため、柔軟な思考やマネジメント力も活かせます。部署を越えて連携しながら動くことに面白さを感じる人には、ぴったりの環境といえるでしょう。

自分に合う青果関連企業の見つけ方

自分に合う青果関連企業の見つけ方

青果業界には、卸売・物流・加工・販売・EC・複合型など、さまざまな業態の会社があります。
仕事内容や求められるスキルも異なるため、まずは「自分に合ったスタイル」を考えてみましょう。

たとえば、体を動かすのが好きな人には市場や物流の現場、戦略や企画に興味がある人にはECや加工商品の開発に関われる企業が向いているかもしれません。

とはいえ、業界の仕組みが複雑で、自分に合う会社をどう選べばよいか迷う方も多いのではないでしょうか。
そのようなときは、青果・食品業界に特化した転職サービスを活用するのもひとつの方法です。

たとえば【オイシルキャリア】では、青果・食品分野に特化した正社員求人を多数掲載しており、未経験からのチャレンジや、現場経験を活かしたキャリアアップをサポートしています。

📢 「青果業界で働いてみたい」「自分に合う会社を知りたい」と感じた方は、ぜひ一度チェックしてみてください。

\ 生鮮業界の求人8,000件以上 /

まとめ

青果を扱う会社といっても、その役割や働き方は多岐にわたります。市場を支える仲卸や物流の現場、加工や販売の最前線、そして成長中のEC・複合型企業まで、一口に「青果関連」といっても、関わり方は実にさまざまです。

今回の記事では、青果流通の流れをたどりながら、代表的な業種や注目される企業の特徴、そして就職先としての選び方までを整理してきました。

どの会社にも共通するのは、「食のインフラを支える」という大きな使命と、現場の工夫と努力によって流通が成り立っているという事実です。

業界への理解を深めることは、単に“青果の仕事”を知るだけでなく、「自分に合った働き方」「暮らしに近い産業との関わり方」を見つけることにもつながります。

青果業界に興味を持った方は、ぜひさまざまな会社や採用情報をチェックしてみてください。あなたの次の一歩に、この情報が少しでも役立てば幸いです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次