コンビニ最大手の一角・ローソンが、スーパーマーケット業態に本格参入する。ローソンとローソンストア100は2026年5月21日、新業態となるミニスーパー「Lミニマート」の実証実験を始めると発表した。1号店は5月28日、東京都小平市にオープン。豆腐53円、もやし30円という徹底した低価格を掲げ、コンビニ大手が”日常の食材購入”という、これまでスーパーが担ってきた領域に踏み込む。その狙いを整理する。
ローソンが新業態「Lミニマート」始動、5月28日に1号店オープン
ローソンとローソンストア100は、新業態ミニスーパー「Lミニマート」の実証実験を開始すると発表した。1号店「Lミニマート小平仲町店」(東京都小平市仲町251)は5月28日12時にオープン。営業時間は7時から23時で、店舗面積は249平方メートル、売場面積は189.1平方メートルと、一般的なコンビニとほぼ同規模の小型店だ。
取り扱うのは、青果・精肉・日配品・冷凍食品・デザート・ベーカリー・調味料・飲料・菓子・日用品など。さらに6月には、板橋西台三丁目店(6月12日/東京都板橋区)、平塚明石店(6月26日/神奈川県平塚市)の2店舗が続く予定で、合計3店舗で業態の有効性を検証していく。
豆腐53円・もやし30円——「EDLP」で挑む徹底した低価格戦略
Lミニマート最大の特徴は、その価格設計にある。豆腐53円、納豆96円、もやし30円(いずれも税込)など、日常的に購入する商品を毎日低価格で提供する「EDLP(エブリデー・ロー・プライス)」を採用している。
注目すべきは、チラシ配布やクーポン施策を一切行わないという方針だ。特売とセールを繰り返す一般的なスーパーとは異なり、価格設計をシンプルにすることで日常使いしやすい低価格を実現する。青果は市場直送の野菜・果物を実験的に取り扱い、玉ねぎやにんじんなどの定番野菜はローソングループの調達力を活かして安価に販売。精肉も鶏肉・豚肉・牛肉まで幅広くそろえ、生鮮食品を強みとするスーパーらしい品ぞろえを目指す。
コンビニがスーパーに挑む背景——都心回帰と単身世帯の増加
なぜコンビニ大手が、いまミニスーパーに乗り出すのか。背景にあるのは首都圏の生活様式の変化だ。コロナ禍で注目された地方移住や郊外志向は落ち着き、人口は再び都市部へ流入。東京都では転入超過が拡大し、首都圏への人口集中が再び強まっている。
さらに東京都では単身世帯が半数を超えるなど世帯の小規模化が進み、子育て世帯でも共働きが主流となっている。こうした中で、日常の買い物には「短時間で必要な分だけ買いたい」というニーズが高まっている。こうした流れは、調理済み食品を購入して家庭で食べる中食市場の拡大とも重なっており、Lミニマートはこの変化に対応する新しい店舗フォーマットとして位置づけられている。

エプロン制服・全台セルフレジ——コストを絞り価格に回す店舗運営
低価格を支えるのが、徹底したコスト構造の見直しだ。従業員のユニフォームにはエプロンタイプを採用し、資材コストを抑制。レジは全台がセルフレジに対応し、一部は酒類・たばこの年齢確認にも対応する。
提供サービスも必要な機能に絞り込んでいる。ATMは設置する一方で、収納代行など対面対応を伴うサービスは扱わない。営業時間も来店が集中する時間帯に重点を置くことで、運営を効率化。こうして浮いたコストを、商品・価格・売場づくりに集中投下する仕組みだ。なお小平仲町店では、店内調理のから揚げ・コロッケ・春巻といった惣菜も販売する。

ローソン×ローソンストア100、二社融合が示す食品小売の新潮流
Lミニマートは、ローソン本体とローソンストア100が共同で手がける点も特徴的だ。ロゴマークには、ローソンのブランドカラーであるピンクと、ローソンストア100のグリーンを組み合わせたデザインを採用。両社の強みを融合させ、新たな価値を生み出す姿勢を象徴している。
コンビニ業界は出店余地の縮小や人手不足といった課題に直面しており、各社が新たな成長軸を模索している。コンビニの利便性とスーパーの生鮮・低価格を掛け合わせた「ミニスーパー」は、食品小売の新たな潮流として注目される。流通業界でも関心が集まっており、近年はベイシアの新フォーマット店やPPIH(ドンキ系)の新業態展開など、既存業態の枠を超えた実験的な取り組みが相次いでいる。


拡大する食品小売、現場で広がる新しい働き方
Lミニマートのような新業態の登場は、食品小売業界で働く人にとって、活躍の場が広がっていることを意味する。生鮮部門の知識、効率的な売場運営のスキル、セルフレジ時代の接客力——こうした食品小売の現場力は、業態の垣根を越えて求められるようになっている。
スーパー、コンビニ、そして両者が融合した新業態まで、食品小売の選択肢は今まさに多様化している。食品業界でのキャリアを考えている方にとっては、自分の経験やスキルをどの現場で活かせるかを見極める好機といえる。スーパー業界への転職を検討している方は、こうした業界の動きも押さえておきたい。
まとめ
ローソンが始める新業態「Lミニマート」は、豆腐53円という低価格と、コンビニ規模での生鮮取り扱いを両立させた挑戦的な業態だ。都心回帰・単身世帯増・共働きの主流化という生活変化を背景に、食品小売の形は大きく変わりつつある。業態が多様化する今、食品小売の現場で培ったスキルを活かせるフィールドは確実に広がっている。
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